ごみを捨てる人・集める人 みんなにやさしいごみ袋 ~卵殻を配合した消臭ごみ袋~
2024.12.03
グループ
資源の有効活用
こんにちは。 キユーピー株式会社 研究開発本部 機能素材研究部 の児玉大介です。
キユーピーグループは、国内鶏卵生産量の約1割を扱う「卵の会社」として、卵の価値を探究してきました。卵黄や卵白の研究はもちろん、卵の殻(以下、卵殻)や卵殻膜も含めて、卵の研究を行っています。
卵の有効活用
今回は、卵殻の新しい価値について、ご紹介します。
卵殻には、雛が呼吸できるように無数の小さい穴が開いており、多孔質構造となっています。この多孔質構造により、臭いを吸着する卵殻の消臭機能を活用することで、臭いに関する社会課題を解決できないかと考えました。
卵殻の電子顕微鏡写真(8000倍)
家庭や職場でのごみ(特にオムツや生ごみ)の臭いにストレスを感じていることはないでしょうか?また、ごみを捨てる人だけでなく、集める清掃業者の方にとっても、ごみの臭いは大きな社会課題となっていると思います。
卵殻を25%配合したごみ袋
そこで、卵殻をごみ袋に配合することで、こうした臭いの課題を解決できるのではと考えました。バイオマスプラスチック樹脂の製造・販売を行っている株式会社ネクアス様と共同で開発を進めたところ、卵殻を25%配合した消臭機能があるごみ袋の試作品を作ることができました。分析の結果では、卵殻配合ごみ袋は一般的なポリエチレン製のごみ袋と比較して、酢酸、酪酸、イソ吉草酸などの臭い成分を大幅に抑制する効果が確認されました。
一般的なポリエチレン製ごみ袋保管時の臭いの強さを100とした時の卵殻ごみ袋との相対評価
仙川キユーポートがある調布市にご提案したところ、想いやコンセプトに共感いただき、試作品が多摩川クリーン作戦で活用されることになりました。
11月10日(日)に開催された多摩川クリーン作戦には、約1,000名の方が参加し、実際に卵殻ごみ袋を使用した市民や市職員の皆さんから、「いつもより臭わない」「早く商品化して欲しい」といった嬉しいご意見をいただきました。
㊧開会式の様子 ㊨当日集められたごみの一部
今後、本格実装に向けて、各自治体やフィルムメーカーへの提案を進めていきたいと考えています。
そして、卵の機能をこれからも探究し、価値へ変えていきます。