「心のバリアフリー研修」の講師を担当して
2025.03.21
ダイバーシティ
こんにちは。 株式会社キユーピーあいの塩田大樹です。
私は視覚障がいの当事者として、社内のDEI推進プロジェクトチームで活動しています。DEIとは「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包括性)」の頭文字を取った略称です。当チームでは、キユーピーグループの意識改革として、従業員向けに「心のバリアフリー研修」を実施しています。
先日、渋谷オフィスと仙川キユーポートで開催したこの研修は通算33回、累計参加者は400名となりました。研修に参加した従業員のブログもぜひご覧ください。
◆研修前半の体験では
最近は、音声で確認してオンライン決済をすることが多く、現金を使うことは少なくなりましたが、以前は硬貨や紙幣での支払いが普通でした。私にとってはあたり前であるお金を見ないで必要な金額を選ぶことを研修参加者のみなさんに目隠しして体験していただきました。手の感触だけで「150円」を探し出しすのがみなさん難しかったようで、ようやく探し出したお金が「15円」という方もいらっしゃいました。視覚障がい者は硬貨の特徴を手の感覚で判別します。実は紙幣にも判別できる工夫があることをお伝えするとみなさん驚いていました。
◆研修後半のセミナーでは
「心のバリアフリー」の考えを理解してもらうために、キユーピーあいの従業員(障がい者)の経験談を交えて話しました。オフィス内には、車椅子や歩行器具が必要な人にとって、重いドアの開閉が難しい場所があったので、自動ドアにしていただいたことで、自由に出入りが出来るようになったこと、私が視覚障がい者という理由で住宅への入居を何度も断られて悔しい思いをしたことなどです。また、障がい者自身も努力が必要と考えることも話しました。例えばスマートフォンを使って商品が何であるのかをAIが教えてくれる仕組みを便利に活用していることなどです。
研修の際の参加者からの質問と、その回答を一部ご紹介します。
Q. 今までに一番困ったことは何ですか?
A. 紙に書かれた文字を読み取ることはスマートフォンを活用するとできますが、自分で文字を書くことができないので、直筆を求められると困ってしまいます。
Q. 街で視覚障がい者を見かけたときに、どのように声をかければよいのかわからず、なにもできなかったことがあります。どのように声をかけたらいいですか?
A. いきなり声をかけられると、驚いてしまったり、自分に声をかけてくれているのがわからなかったりするので、軽く肩やひじに触れながら声をかけていただけると助かります。
研修後のアンケートでは、「他の人にも薦めたい研修だった」という評価をいただき、DEI推進プロジェクトチームの励みになりました。
今後も、この「心のバリアフリー研修」を継続的に実施し、キユーピーグループ全体に意識を浸透させていきたいです。一人ひとりの従業員がDEIを理解し、実践することで、多様性を尊重し、互いに支え合う職場環境へ近づけていきたいです。
このような取り組みを通じて、障がいの有無に関わらず、すべての人が自分らしく活躍できる社会の実現に貢献していきたいと思っています。
●株式会社キユーピーあい https://www.kewpie-ai.co.jp/
2003年12月にキユーピー株式会社の特例子会社として認定され、色々な能力を持った障がい者と健常者が共に働く喜びと自己成長を実感できる会社としてスタートしました。特例子会社とは、障がいのある方の雇用の促進、そして安定を図るために設立された会社のことです。