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卵でおいしく健康

健康づくりにも、
卵を賢く活用しましょう

卵の栄養は?

卵からヒヨコが生まれることを考えても、卵にはヒヨコが誕生するために必要な栄養素が、ほぼ備わっているという証拠です。たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどいろいろな栄養素を含んでいますが、中でも特長的なのが、たんぱく質のアミノ酸バランスのよさ。人間の体内でつくることができない必須アミノ酸の組成が優れているため、卵のたんぱく質は、良質で、栄養価の高い食品であるといえます。

卵とコレステロールの新常識

悪者あつかいされることもあるコレステロールですが、実は人の体にとって必要不可欠な栄養素です。コレステロールは脂質の一種で細胞膜やホルモンのもとになります。コレステロール値が低くなると、血管が破れやすくなったり、免疫力が低下するなどの弊害が心配されます。しかも体の中にある約80%は体内で作られ、食事由来のものは約20%程度。また、食事から多く摂った場合でも、人の体には体内のコレステロール量を一定に保つ機能があります。卵1個Mサイズには約210mgのコレステロールが含まれますが、健康な人(※)では、卵のコレステロールは気にしなくて大丈夫です。
むしろ良質なたんぱく質、ビタミン類の供給源としての価値の方が大きいとされています。

※)医師・栄養士より栄養指導を受けている方はその指示に従ってください。

卵は元気の源

毎日卵を食べましょう!

全国の100歳以上の長寿者のうち1,900人を対象として、食生活を調査した結果、長寿者には毎日欠かさず卵を食べている人が多いことが報告されています(※)。
長寿や、サルコペニアの予防には、良質のたんぱく質をしっかり摂る食事が大切。そこで、魚、肉、大豆製品も好み、野菜や海藻、植物油を使った料理などの頻度の高いことも長生きの秘訣という結果もでました。
卵は手に入れやすく、調理も簡単なので、普段の食事に手軽に取り入れられます。年をとると肉は苦手という人も多くなりますが、加熱しても軟らかく、さまざまな料理に使える卵なら抵抗もなく、歯が弱くなってもおいしく食べられますね。

※)(財)健康・体力づくり事業財団,
「全国100歳老人の1/2サンプルの横断的研究」報告,2002

朝食に卵をとり入れよう

卵料理を食べて朝から元気に活動を!

卵は、さまざまな栄養素を含んでおり、たんぱく質は食品の中でも良質とされています。Mサイズ卵1個のエネルギーは76kcalです。
BMIが高めの人を対象とした研究では、朝食に卵を食べた人では食べなかった人と比べて昼食の摂取量が少なく、体重が減少すると報告されています。これは、卵料理でたんぱく質をしっかりとることで、満腹感が増す効果があるためです(※)。

※) Vander Wal J S et al., J Am. Coll. Nutr., 2005, 24:510-515.

野菜と一緒に食べよう

卵と野菜は相性が良い?

野菜の栄養素には「脂溶性」のものが多くあります。たとえば、ビタミンA,D,E,Kやβ-カロテンなどです。
実はこの栄養素は、油に溶けやすいという特徴があるため、それだけで食べるよりも油分を含んでいる卵と一緒に食べることで、体の中に吸収されやすくなるのです。
実際にアメリカで行われた研究では、野菜サラダだけを食べた人と比べて、卵3個分のスクランブルエッグを一緒に食べた人では、血中濃度がカロテノイド類は約8倍、ビタミンEは約5倍に増加しました。(※)

また、卵は人間の体にとって必要な栄養素がビタミンCと食物繊維以外はすべて含まれています。卵に足りないビタミンCや食物繊維は、野菜と組み合わせて食べる事で補うことができます。
サラダと卵を組み合わせることで、理想的な栄養バランスに近づきますね。

※)Kim JE et al., Am. J. Clin. Nutr., 2015, 102: 75-83
※)Kim JE et al., Am. J. Clin. Nutr., 2016, 146: 2199–2205

脳を元気にいきいきと

卵は脳の活性化が期待できる!

卵は脳の活性化に良いとされる食品として注目されています(※1)。卵黄由来のコリン(卵黄コリン)は、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの材料であり、胎児や乳幼児の脳の発達や成人の脳の健康を維持する上でも重要な物質です(※2)。食事からコリンを摂取する上で、卵は主要な摂取源です(※3)。日本で行われた研究では、卵の摂取量が多い人では少ない人よりも軽度認知障害(MCI)の発生リスクが低いことが観察されています(※4)。海外の研究においても認知機能や認知症の発症リスクとの関連性が報告されています(※5,6)。また、卵黄コリンを摂取することで、認知機能が維持されることも報告されています(※7,8)。これらの知見は、卵が脳の健康維持に寄与する可能性を裏付けるものです。脳の若さを保ち、いきいきとした生活を送るために、日々の食生活に卵を取り入れましょう。

参考文献
※1)Gómez-Pinilla F et al., Nat Rev Neurosci., 2008, 9(7):568-78.
※2)Institute of Medicine of the National Academies, “Dietary Reference Intakes(1998)”.
※3)Shirouchi B et al., J. Nutr. Sci. Vitaminol., 2018, 64:215-221.
※4)金子ほか, BDHQを用いた高齢者の栄養疫学研究(2)フレイルおよび MCI と関連する食品群と栄養素. 第82回日本公衆衛生学会総会. 2023.
※5)Ylilauri MP et al., J. Clin. Nutr., 2017, 105:476-484.
※6)Ylilauri MP et al., Am. J. Clin. Nutr., 2019, 00:1-8.
※7)Kawada N et al., Jpn Pharmacol Ther., 2023, 51(10) 1577-91.
※8)Yamashita S et al., Lipids Health Dis., 2023, 20;22(1):75.

卵は脳の活性化が期待できる!

丈夫な骨づくりに

卵を食べて丈夫な骨づくりを!

がんをはじめ心臓病、糖尿病、高血圧などの生活習慣病は、まさに生活習慣を改善することによって予防や治療が可能ですが、骨粗しょう症もその一つ。
人間が骨をつくるうえで必要な栄養素としては、カルシウムが代表的ですが、カルシウムが充分に働くためには、たんぱく質、ビタミン、さらに鉄分、マグネシウム、亜鉛、リンなどと多くの栄養素の助けが必要です。卵はさまざまな栄養素を含んでいるので、毎日食べることによって、丈夫な骨づくりに役立ちます。