よく噛むことの大切さ
噛むことは食事を楽しむうえで大切な要素です。
よく噛むことで食感や香り、食材本来の味を感じ、おいしさを楽しむことができるのです。
また、各世代で生活の質の向上につながります。
世代別でみたよく噛むことで得られる効果
食べる能力はライフステージとともに変化します。
生まれてから成人期までの間によく噛む習慣を続けることで、食べることの基本的機能が身に付きます。高齢期に入ると、歯の損失や筋肉の衰えなどによって、食べる能力が減退していきます。
この一連の曲線は、よく噛む習慣が身についている人とそうでない人では差が開いていきます。
食べる能力の変化
噛む回数が減っている
現代の食事は食嗜好の変化や加工技術の発達によりやわらかいものが増えています。その結果、一回の食事で噛む回数は著しく減っています。戦前(1930年代)に比べて半減しているというデータがあります。
一回の食事での咀嚼回数の変化
噛む回数を増やすには
咀嚼回数ランク表を活用する
噛む回数を増やすためには、まずはゆっくりよく噛んで食べることが大切です。
そして、よく噛む食品を食事に取り入れることで自然に噛む回数が増やせます。
咀嚼回数ランク表は、142品目の食品10gあたりの噛む回数を10段階にランク付けしたものです。同じ食材でも生、茹で、炒めなどの調理方法ごとに噛む回数が掲載されているので、毎日の食事作りにも活用しましょう。
サラダで噛む回数アップ
次のような標準的な食事の中で、メニューごとの噛む回数を比較してみました。
いつもの食事にサラダを一品加えることで、ビタミン、ミネラルといった不足しがちな栄養素の補填になるだけでなく、食事全体の噛む回数アップにもつながります。
標準的な食事におけるメニューごとの
噛む回数
【材料と重量】
- サラダ:キャベツ(せん切り)50g、コーン20g、ブロッコリー(茹で)30g、ミニトマト20g、ドレッシング15g
- ハンバーグ:ハンバーグ150g
- ごはん:白米ご飯150g
- みそ汁:豆腐30g、わかめ5g、みそ5g、だし汁100g
ライフステージに合わせて意識
人生を通して健康な口腔機能を維持し、食事をおいしく食べるために、それぞれの世代に合った食品での「健康に噛み続けること」へのアプローチがあると考えます。
【乳幼児期】
生後6カ月頃から、赤ちゃんは離乳食で少しずつ形や硬さのある食べ物に慣れていきます。月齢に合わせた食事を与えることで、食べ物に応じた噛み方をコントロールする、スプーンで液体を飲むなど、咀嚼機能の基礎が身につきます。
【成人期】
健全な咀嚼機能を保つには、自然と噛む回数が増える食材やメニューを食事に取り入れたり、調理方法を工夫したりすると効果的です。
【高齢期】
高齢期になると、噛む力や飲み込む力が弱まりがちです。咀嚼機能が減退した方向けの噛みやすく飲み込みやすい食事を取り入れることで、高齢期でも食生活を楽しむことができます。
食をテーマにした講演会を
開催しています
食生活と健康についての正しい情報の提供を目的とした食をテーマにした講演会の中で、噛むことの大切さもお伝えしています。