日本人は野菜が足りていない
めざしたいのは1日350g
野菜は1日350gの摂取が推奨されています。日本人の野菜摂取量の平均値は280gで、あと70g足りていません。
特に20~40代の若者や中年層が足りていない結果が出ています。これは、外食の増加や朝食を抜くといった食習慣が影響している可能性があります。
- 出典:厚生労働省 平成30年 「国民健康・栄養調査」
なぜ、野菜摂取目標量は350gなの?
カリウム、食物繊維、ビタミン(A,C,E等)の摂取は、健康維持に役立つことが報告されています。
これらの栄養成分の摂取源としては野菜が寄与する割合が高く、十分に摂取するために必要な野菜の量は350g/日以上と考えられています。
野菜を多く食べる人は、循環器疾患や、ある種の癌にかかる確率が低くなるという研究報告があります。
- 〇Aune D et al., Int J Epidemiol. 2017, 46:1029-1056.
- 〇Kobayashi M et al.,I. Int J Cancer. 2002,102(1):39-44.
- 出典:厚生労働省 平成30年「国民健康・栄養調査」
- 出典:厚生労働省 平成26年から平成30年「国民健康・栄養調査」をグラフにまとめた
野菜1日350gを楽しく食べよう
1日350gってどのくらい?
実際の350gの野菜はどのくらいの量なのでしょう?
その量は、緑黄色野菜120gとその他の野菜230gが目安です。
現状、日本人の1日あたりの平均野菜摂取量は280gです。目標まであと70gです。
70gの野菜というとトマトでは1/2個、玉ねぎでは1/4個、キャベツでは葉の1~2枚程度。
朝ごはんにパンだけを食べる代わりに食パンに野菜をのせて、チーズをかけて焼き、野菜ピザ風にしたり、お味噌汁に野菜を入れて具沢山にしたり、楽しみながら野菜の摂取量を増やしてみませんか?
- 出典:厚生労働省 平成30年「国民健康・栄養調査」
野菜の摂取は生と加熱の
どちらがよい?
生野菜、加熱野菜のどちらにも利点があります。
生野菜は、ビタミンCのような加熱に弱い栄養素をそのまま摂れることが特長です。シャキシャキとした食感や爽やかな香りを楽しむこともできます。また、加熱工程がないので、調理時間も短くできます。
加熱野菜は、火を通すことで葉物野菜のボリュームが減り、たくさんの量を食べることができます。
また、柔らかくなるので食べやすいという長所もあります。
生野菜と加熱野菜、どちらも体にとっては必要な栄養素を含んでいますので色々な野菜・調理方法を上手に組み合わせて毎日の食事に取り入れてください。
サラダを食べる順番が大切
サラダから食べよう!
炭水化物の前にサラダを食べると血糖値の上昇が緩やかになることが分かりました。
食後の血糖値の急激な上昇を抑えることは、糖尿病や血管疾患の予防につながります。
野菜サラダを炭水化物の前に摂取すると、
血糖値の上昇が抑えられます。
- 1 ご飯サラダ
- 2 サラダご飯
- 3 搾り汁ご飯
対象:20歳以上の男性(健常者)13名を対象とした。
試験方法:被験者は一晩絶食後の空腹時に採血を行った(摂取前)。
下記の3つの順番で食事を摂取し、食事摂取後の30、45、60、90および120分後に採血を行った(摂取後)。
摂取前と摂取後の血糖値の変化を確認した。
- ①ご飯→野菜サラダ
- ②野菜サラダ→ご飯
- ③野菜サラダの搾り汁(不溶性食物繊維などの固形分を除いたもの)→ご飯
結果:「②野菜サラダ→ご飯」は「①ご飯→野菜サラダ」と比較して、45分後の血糖値が有意に低い値を示した。
- 出典:日本食品科学工学会 第69回大会
野菜を食べてよく噛む習慣を身につけよう
噛むことはなぜ必要?
野菜はシャキシャキとした食感があり、噛み応えのある食材のひとつです。
そして、この「噛む」にはさまざまな健康効果があることが、分かってきています。
例えば、噛むことで分泌される唾液には、食べ物の残りかすや細菌を洗い流し、口の中をきれいにする効果があり、虫歯や口臭の予防につながります。また、噛むことは脳や身体に刺激を与えるので、脳の老化を防ぎ、記憶力を高めるという報告もあります。さらには、満腹中枢が刺激され、食べすぎ防止につながるとも言われています。
日々の食事に噛み応えのある野菜を加えることで、手軽に噛むことの効果を得ることができます。
噛む回数を増やすポイント
切り方や調理方法によっても
噛み応えが違う
食物繊維が含まれる野菜はもともと噛み応えがある食材ですが、調理を工夫すると噛み応えがさらにアップします。
ポイントは加熱時間、切り方、水分の3つあります。
加熱時間
野菜は生のまま食べるか加熱時間を短くするほど、食材の食感が残り、噛む回数が増えます。
切り方
切り方の工夫でも噛む回数を増やせます。
野菜なら大きく切ることや、せん切りのように細長くカットするのもおすすめです。
水分
炒めたり、揚げたりすると食材の水分が少なくなります。水分は唾液の代わりをするので、水分が少ないほど噛む回数は自然と増えます。
ちょっとした工夫でいつもの料理の噛み応えがアップするので、ぜひ試してみてください。
また、噛む力が弱くなってきた方は、ご自身にあった固さに調節して、無理せず野菜を摂取することをお勧めします。
- 高齢期の噛む情報はこちら
野菜は適塩の味方
野菜に含まれているカリウムにはナトリウムを体外に排出する働きがあります。野菜を多く摂ることは「適塩」にもつながります※。
しかし、野菜の味付けを濃くすることで、さらに食塩を摂取をしてしまうこともあります。
なるべく素材の味を生かし、うま味やコクのある素材と組み合わせて上手に毎日の「適塩」をめざし、意識して食塩をコントロールしましょう。
- ※腎機能が低下している方などは、カリウムの摂取をコントロールしなければならない場合があります。