研究・調査
16/06/29
No.33
<2015年度 キユーピー 食生活総合調査②>
50~79歳女性の食にまつわる行動・意識調査報告「一から手作り」へのこだわりが減少し外食も中食も上手に活用するシニア層が増加
キユーピーは、1989年から毎年、「食生活総合調査」を実施しています。2015年度は、50~79歳の未婚者以外の女性を対象として、シニア層の「健康状態」「食意識」「外食・中食の利用状況」について調べました。
この報告は、ニュースリリースNo.29(2016年5月23日発表)に続く2回目に当たり、シニア層の「外食・中食の利用状況」に関する調査結果を紹介します。本調査のおもな結果の報告は、2回目に当たる今回で終了となります。
なお、本調査では60歳以上を「シニア層」と捉え、比較対象として50代も含めて調査を実施し、前回(2012年)の調査結果と照らし合わせて、食生活の傾向とその変化を分析しています。
①外食は「家族とのお出かけ」から「おいしいものを」「簡単に」へ
「外食のタイミング」(複数回答可)を尋ねる問いに対する回答では、2012年と比較して、「離れて住んでいる家族と食事にでかけるとき」が大きく減少している一方で、「おいしいものを食べたいとき」「簡単に済ませたいとき」が増加していることがわかります。(資料1)
また、外食の利用頻度は、ほぼ横ばいで大きな変化は見られませんでした。(参照資料なし)
②中食利用のきっかけは「子どもの独立」
「中食の利用頻度」を尋ねたところ、2012年と比較して、「週に1回以上利用」が大きく増加しています。特に顕著なのが、70代の伸びです。また、市販の弁当・惣菜の「利用形態」(複数回答可)や「活用方法」(複数回答可)を調査したところ、それぞれの設問で、「小分けされた(少量パック)もの」と「小容量を買ってきて、食べきる」という回答が最も多いことがわかりました。(資料2)
さらに、「食生活で増えたことのきっかけ」(複数回答可)を尋ねる問いに対する回答からは、「子どもが独立した(家から離れた)」ことが小分け食品やできあいの惣菜・弁当を利用するきっかけとなっていることがうかがえます。(資料3)
③「我が家の味」「一から手作り」へのこだわりが減少し、カット野菜の利用が増加
「食生活に関する考え方」(複数回答可)を尋ねたところ、2012年と比較して「我が家の味というものを大切にしたい」や「手間暇がかかっても料理は一から手作り」という回答が、すべての世代で大きく減少しています。これらの結果は、シニア層で食に関する規範意識やこだわりが、低下してきていることを示唆しています。(資料4)
また、調理の簡便化の手法について尋ねた「調理方法で実行していること」(複数回答可)の設問からは、2012年と比較して全体的に減少傾向がある中で、「野菜炒め用・サラダ用など、調理用にカットされた野菜を使って料理を作る」が増加していることがわかります。(資料5)
《まとめ:調査結果から》
今回の調査結果からは、シニア層が外食を利用する目的が、「家族との時間を過ごすため」から、「おいしいものを食べたい」「簡単に済ませたい」など、自己都合へとシフトしつつあることが推察されます。
また、中食に関する調査結果では、シニアにおいて「我が家の味」や「一から手作り」などの規範意識が薄れつつあることがわかります。特に、子どもの独立をきっかけに、「しっかりと手作りしなければ」という意識から解放されていると推測できます。調理の時短・簡便化の手法の中で、カット野菜の利用のみが増加しているというのも注目すべきポイントです。
以上の結果を、ニュースリリースNo.29と併せて考えると、健康に気を使いつつ、中食や外食を上手に活用して、長寿の時代を楽しもうとする、アクティブなシニアの姿をうかがうことができます。
【調査方法の概要】
■調査手法 | 留置調査 |
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■調査期間 | 2015年11月24日~12月9日 |
■調査対象 | [性別] 女性 未婚者以外(既婚、離死別) [年齢] 50~79歳 [地域] 1都3県 |
■割付 | A.国勢調査(2010年)の総人口既婚率 B.人口推計年報(2014年10月1日時点)の総人口 AとBを1都3県別・5歳刻みで計算 |