その他
19/05/22
No.36
光学技術とAIを活用
ジャム・フルーツスプレッド用異物検査装置を株式会社ニコンと共同開発
左の黒い装置が異物検査装置。検出された異物・夾雑物は、右の透明なBOX内のロボットアームに装着されたバキューム装置で吸い出して除去する。
アヲハタ(本社:広島県竹原市、代表取締役社長:山本範雄)は、ジャム・フルーツスプレッドの製造工程において、光学技術とAIを活用し、異物・夾雑(きょうざつ)物を検出・除去するための異物検査装置を株式会社ニコン(本社:東京都港区、社長執行役員:馬立稔和)と共同開発しました。2019年5月から「アヲハタ 55ジャム」など主力商品の生産ラインにおいて稼働を開始しています。
アヲハタが持つ、異物・夾雑物の検出・除去に関するノウハウと、ニコンが持つ光学技術に加え、AIを活用することで、これまで困難とされてきたジャム・フルーツスプレッド分野における異物・夾雑物の自動検査を可能にしました。
■共同開発の背景
ジャム・フルーツスプレッドの製造では、原料に混入した異物・夾雑物(原料となるフルーツのヘタ・葉・枝・種など)を取り除く工程として、冷凍された原料を目視検査する「事前選別」が一般的に行われています。さらにアヲハタでは、この事前選別に加え、加熱などの加工を経た製造工程中においても、容器に充填する前に人による目視検査を全量行っています。今回自動化したのは、この充填前の目視検査です。
この検査は、作業者の身体的負担が大きく、検出の精度にもバラつきが発生するなどの課題があり、作業改善が必要とされていました。一方、原料の種類の多さや果肉の形状により、ジャム・フルーツスプレッド分野においては、異物・夾雑物の検査工程の自動化は困難とされてきました。
アヲハタは、ニコンが持つ光学技術に着目し、2015年から同社と基礎実験を重ね、2016年には共同開発契約を締結し、同年から異物検査装置の製作を開始しました。
■装置の特徴
ジャムやフルーツスプレッドは、原料ごとに果肉の様子や状態が異なります。当装置は、ニコンの持つ「分光技術」を用い、ベルトコンベアを流れるジャム状の原料を連続的に撮影した画像から異物や夾雑物を検出し、バキューム装置で吸い出すことで自動的に除去します。
分光技術とは、さまざまな波長が含まれている光を波長成分に分ける技術です。その分光技術を用いて、原料として問題のない果肉と、異物や夾雑物の違いを見分けます。検出実験の結果から、両者の違いを見分けるために最も適した波長のフィルターの組み合わせを選定し、当装置に搭載しました。また、撮影画像から夾雑物を検出する処理には、AIの一種であるディープラーニングを活用しています。
この異物検査装置と、従来からの人の目による目視検査を併用することで、検出精度の向上と作業負担の軽減を両立しています。
加熱後のジャム状になった原料
検査装置と人による目視検査を併用
アヲハタは、創業以来「缶詰技術を応用し、素材の新鮮さ、風味を生かした安全、安心な食品づくり」に励んできました。今後も、原料の調達から製造・販売まで、あらゆる段階における商品の安全・安心に対する信頼性の向上に取り組んでまいります。
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