サステナビリティ・食育
19/07/02
No.43
子ども食堂などの運営にまつわる取り組みを共有
キユーピーみらいたまご財団 第4回「地域の居場所づくりサミット」を開催
6月15日(土)に実施
公益財団法人 キユーピーみらいたまご財団(東京都渋谷区、理事長:三宅峰三郎)は、2019年6月15日(土)に、第4回「地域の居場所づくりサミット」を、キユーピー本社(東京都渋谷区)で行いました。第1部では、キユーピーみらいたまご財団による助成活動報告、マクジルトン・チャールズ氏(セカンドハーベストジャパン CEO、キユーピーみらいたまご財団 評議員)による講演を行いました。第2部では、「食の居場所づくり講座」を開催しました。当日は、助成団体関係者のほか、子ども食堂を運営している人や、これから子ども食堂を始めたい人など、全国から総勢80人以上が参加しました。
第4回「地域の居場所づくりサミット」 概要
日 時:2019年6月15日(土)13:00~16:45
場 所:キユーピー株式会社 渋谷オフィス 2階ホール
第1部 13:00~14:20 キユーピーみらいたまご財団 助成活動報告 【講演】マクジルトン・チャールズ氏
第2部 14:30~16:45 食の居場所づくり講座(講演と具体例の紹介)
主 催:公益財団法人 キユーピーみらいたまご財団
共 催:一般社団法人 全国食支援活動協力会
《第1部》2018年度助成団体を代表して、2団体が活動内容を報告
キユーピーみらいたまご財団の助成プログラムは、A.食育活動、B.食を通した居場所づくり支援の2つがあります。2018年度は計26団体へ総額1,247万円(A.10団体 532万円、B.16団体 715万円)の助成を行いました。2019年度は計70団体へ総額2,651万円(A.23団体 1,094万円、B.47団体 1,557万円)の助成をしています。
第1部では、キユーピーみらいたまご財団理事長 三宅峰三郎のあいさつ、事務局からの事業説明に続いて、各プログラムを代表して2つの団体が活動報告を行いました。
三宅峰三郎
冒頭のあいさつで三宅は、財団の設立趣旨、2019年4月の公益財団化に触れたのち、「食を取り巻く社会課題解決という大きなテーマに対し、当財団の支援規模はまだ小さいが、継続することが大切だと考える。今後も役に立てる財団を目指していく。」と話しました。続く事務局からの事業説明では、「子どもの貧困は、経済的な貧困だけでなく、体験の貧困も課題である。他の団体の活動も参考にしてほしい。」と呼びかけました。
足立千佳子氏
【2018年度助成団体の活動報告】
プログラムA 「NPO法人 とめタウンネット」 (宮城県登米市)
プロジェクトリーダーの足立千佳子氏が、仙台牛の産地であり、稲作も盛んな地域の特性を生かした、農業体験や加工体験などの活動を報告しました。稲作で生まれたわらを牛の飼育に使い、堆肥を稲作に活用する『耕畜連携』の仕組みを紹介し、「稲わらが畜産農家を支えている。食の大切さを学び、消費者も食べることで食の輪に加わることが大切だ。」と話しました。
猪爪まさみ氏
プログラムB 「NPO法人 キッズ未来プロジェクト」 (東京都新宿区)
子ども食堂の運営や、貧困家庭へ食材を提供する事業を行っている、理事長の猪爪まさみ氏は「経済的に豊かでも、個食や偏食などの問題がある。食は、人と人を結び付ける力を持っている。」と訴えました。さらに、貧困家庭には子ども食堂だけでは足りない現状や、体験の貧困など、子ども食堂を運営することで見えてきた課題を取り上げました。
参照)「キユーピーみらいたまご財団」助成団体一覧
http://www.kewpiemiraitamagozaidan.or.jp/service/2018.html#ct01
マクジルトン・チャールズ氏
【講演】「フードバンクと子ども食堂の将来」
日本初のフードバンクを運営するマクジルトン・チャールズ氏(セカンドハーベストジャパンCEO、キユーピーみらいたまご財団 評議員)は、子ども食堂について「たくさんの人が力を合わせ、将来を考えて行動している素晴らしい活動である。」と語りました。食材の提供について、衛生管理や供給方法などの課題に触れ、「ぜひ相談してほしい。よりよい活動のために協力していきましょう。」とエールを送りました。
《第2部》子ども食堂などの「食の居場所づくり」をテーマに講座を実施
第2部「食の居場所づくり講座」では、全国の活動団体や子どもたちの現状について2つの講演を行いました。その後、実際に取り組みを行っている団体が事例紹介を行い、居場所の意義、学校や地域との連携の重要性を訴えました。
平野覚治氏
食を通した新しいコミュニティーが生まれている
最初に、一般社団法人 全国食支援活動協力会 専務理事の平野覚治氏が、全国の活動団体へのアンケート調査から見えてきた活動の状況について講演しました。食事提供から始まった子ども食堂は、学習支援・食育・多世代交流・共食体験・子どもの貧困対策といった新しい活動に広がっています。活動を継続するための課題は、運営費です。平野氏は「活動団体のニーズと、支援する企業や財団の強みをつなげていきたい。力を合わせましょう。」と呼びかけました。
村山純氏
児童館のコンセプトは“地域大家族”。地域との協同が必要
続いて、世田谷区立喜多見児童館 館長の村山純氏が、子どもの現状について講演しました。児童館は子どもの育ちを見守る身近な相談機関です。村山氏は「貧困は表面だけ見ても分からない。子どもをよく観察することが必要。」と伝えました。喜多見児童館は、“地域大家族”をコンセプトに、地域の協力を得て子どもの支援をしています。「子どもだけでなく、大人も一緒に参加する地域の取り組みの一つが児童館。参加者も担い手も、一人一人ができることをやることで、児童館が大切な居場所になっていく。」と語りました。
福井潤一郎氏
事例紹介①:こどものへや しま☆ルーム(大阪府大阪市)
子どもを守るために学校と連携しながら運営している、子どもの居場所づくりについて紹介しました。活動開始時から、理念を共有し、子どもにとってどんな居場所が必要かを相談して進めることで、信頼関係を築きました。代表の福井潤一郎氏は、「自分のやりがいのためではない。子どものための居場所づくりであることを明確にすることが大切。」と話しました。
鈴木訪子氏
事例紹介②:あらかわ子ども応援ネットワーク(東京都荒川区)
地域社会で地域の子どもの健やかな成長を支えるためのネットワークづくりについて紹介しました。荒川区で子ども食堂などを運営する15団体の他、行政、社会福祉士会、大学、フードバンク、社会福祉協議会などが情報共有する仕組みを作っています。事務局の鈴木訪子氏(荒川区社会福祉協議会 地域福祉活動促進専門員)は、「一つの団体でできることは限られている。子どもの明るい未来のために、地域、行政、支援者で手をつないでいきましょう。」と呼びかけました。
キユーピーみらいたまご財団は、今後も、食育活動および食を通した居場所づくり支援に取り組む団体への支援活動を行うことで、健やかで持続的な社会の実現を目指していきます。
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