研究・調査
19/09/05
No.74
新開発のアンチエイジング素材の実証データを紹介
第25回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC) 中間大会で、研究成果を口頭発表します
9月30日(月)から10月2日(水)に、イタリア・ミラノで開催
キユーピーは、2019年9月30日(月)から10月2日(水)に、イタリア・ミラノで開催される「第25回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)中間大会」において、新開発の機能性ヒアルロン酸について口頭発表を行います。発表では、コラーゲンサイクルを活性化し、肌のシワやたるみを改善する、アンチエイジング効果を持つ新素材について、実証データと共に紹介します。
IFSCCは、48の学協会、74の地域の化粧品技術者会が加盟し、約16,000人の会員が所属する国際的な学術連盟です。IFSCCが開催する国際会議は、世界の化粧品研究者たちにとって最も権威のある学会の一つとなっています。1年ごとに本大会(Congress)と中間大会(Conference)が交互に開催され、厳正な審査を経たテーマだけが口頭による発表を行うことができます。
今回の中間大会では、口頭39件、ポスター300件以上の発表が予定され、世界中の研究者たちが最先端の化粧品技術を披露します。
ほうれい線のシワも改善するアンチエイジング素材「HAbooster®」の研究成果を発表
コラーゲンサイクルの模式図:HAbooster®は
赤丸で示した箇所を活性化する
キユーピーが発表するのは、アンチエイジング効果を有する新開発の機能性ヒアルロン酸「HAbooster®」(エイチエーブースター)の研究成果です。ヒトの皮膚は、コラーゲンの生成と分解を繰り返すコラーゲンサイクルがスムーズに回ることで健康な状態に保たれますが、老化した皮膚ではこのサイクルが遅延し、古いコラーゲンが滞留してエイジングが進みます。「HAbooster®」はこのコラーゲンサイクルを活性化し、肌のシワやたるみを改善する素材です。実証実験では、ほうれい線のシワを改善したという結果が得られています。
キユーピーは、30年以上にわたるヒアルロン酸の研究開発の実績を持ち、国内におけるヒアルロン酸の販売量はNo.1(2017年富士経済調べ)です。BtoBを中心に食品・医薬品・化粧品の原料などへ幅広く展開しています。
キユーピーは今後も、独自の素材と技術で新しい機能性商品を生み出し、人々の健やかな生活に貢献する企業を目指します。
研究発表の概要は以下の通りです。
■タイトル
2 kDa hyaluronan promotes collagen remodeling in skin by simultaneous upregulation of collagen degradation and synthesis
(和文:分子量2000のヒアルロン酸はコラーゲン合成と分解に同時に作用することで肌のコラーゲンリモデリングを促進する)
■目的
ヒアルロン酸(HA)は、生物由来の多糖類の一種であり、生体内では約1 kDaから3000 kDaを超える分子量のヒアルロン酸が存在するといわれています。高分子量のヒアルロン酸には粘弾性と保水性があり、これらの機能は化粧品に適用され、濃厚な質感と保湿機能を与えます。
一方、分子量が10 kDa未満のHAオリゴ糖は、特にコラーゲンの分解と再合成を含む創傷治癒に関与します。コラーゲンサイクルが回ることでヒト皮膚を健康な状態に保ちますが、老化した皮膚ではこのサイクルが遅延し、古いコラーゲンが滞留して、エイジングが進みます。この研究は、化粧品の機能性成分として、皮膚のコラーゲンサイクルに対する2 kDaのHAオリゴ糖(HA2k)(HAbooster®)の効果を評価することを目的として実施しました。
■結果
データ①:
HAbooster®0.1%水溶液を前腕部に塗布しDermaLab®にてコラーゲン密度を超音波で測定した結果、4週間後にコラーゲンが増加していることが確認された。
データ②:
被験者 :シワグレード1~3の女性21名。平均年齢47歳
試験期間 :8週間(測定点が4週間、8週間)
試験概要 :HAbooster®配合化粧水と未配合化粧水をそれぞれ半顔に1日2回(朝晩)洗顔後に塗布する。その後、乳液とクリームを塗布する。
試験の結果:HAbooster®によりほうれい線のシワが改善されることが確認された。
<結論>
HAbooster®がアンチエイジングに非常に有用な素材であることが確認された。
印刷時には、PDFデータをご利用ください。