研究・調査

19/11/07

No.94

介護が始まる前に知っておきたい市販用介護食の魅力

「介護にまつわる意識調査」市販用介護食を活用して食事関連の負担を軽減

 キユーピーは、「介護の日※1」(11月11日)に向けて実施した「介護にまつわる意識調査」の結果を発表します。第1回の2017年以降、今回が3回目です。2019年は、キユーピーが市販用介護食「やさしい献立」シリーズを発売して20年になります。これまでの知見と介護に関する食事や実態を分析することで、不安や課題の解消に向けた提案につなげていきます。

※1 「介護の日」:介護について理解と認識を深め、介護従事者、介護サービス利用者および介護家族を支援するとともに、利用者、家族、介護従事者、それらを取り巻く地域社会における支え合いや交流を促進することを目的に、2008年に厚生労働省が制定しました。

① “ユニバーサルデザインフード(UDF)※2”を知っている人は1割未満

 将来、在宅介護をする可能性がある人に、「介護食の呼び方」について知っているものを尋ねたところ(複数回答可)、最も認知が高かったものが、「ペースト食」(51.3%)で、次いで「ゼリー食」(40.6%)、「やわらか食」(39.2%)、「ミキサー食」(38.8%)でした。一方、「ユニバーサルデザインフード(UDF)」は7.4%で1割未満でした。実際に介護に携わっていない人は、ユニバーサルデザインフード(UDF)に対する認知が低いことが分かりました(資料1)。「やさしい献立」シリーズは、介護食を初めて購入する人にも選びやすいように、全商品にUDFマークと区分を表示しています。

資料1 介護食の呼び方に関する認知

※2 ユニバーサルデザインフード(UDF)とは、日常の食事から介護食まで幅広く使用できる、食べやすさに配慮した食品です。日本介護食品協議会が定めた自主規格で、かむ力や飲み込む力に応じた4区分(「容易にかめる」、「歯ぐきでつぶせる」、「舌でつぶせる」、「かまなくてよい」)と「とろみ調整」で構成されています。

表示区分容易にかめる歯ぐきでつぶせる舌でつぶせるかまなくてよいとろみ調整
かむ力の
目安
かたいものや
大きいものは
やや食べづらい
かたいものや
大きいものは
食べづらい
細かくまたは
やわらかければ
食べられる
固形物は
小さくても
食べづらい

食べ物や飲み物に
加えまぜるだけで、
適度なとろみを
簡単につけることが
できる粉末状の食品。
ゼリー状に
固めることが
できるものもある

飲み込む力の
目安
普通に飲み込める ものによっては
飲み込みづらい
ことがある
水やお茶が
飲み込みづらい
ことがある
水やお茶が
飲み込みづらい

② “かまなくてよい”使用者の半数は、今後も「とても使用したい」

 介護関与者※3に、「今後も使用したいか」について尋ねたところ(単一回答)、「とても使用したい」、「やや使用したい」を合わせると77.6%でした。UDF区分別に見ると、食べる力が弱くなるにつれて、「とても使用したい」が高くなることが分かりました(資料2)。特に“舌でつぶせる”“かまなくてよい”は調理に手間がかかることや、介護される人のかむ力や飲み込む力に合わせて作ることが難しい区分です。市販用介護食には、UDF区分のように、食べやすさの目安を表示しているものがあります。UDF区分が表示されている商品を選ぶことで、介護される人の状態に合った食事を安心して提供することができます。

※3 介護関与者の中で、キユーピー「やさしい献立」を1年以内に利用したことがある人と、キユーピー「やさしい献立」以外の市販用介護食を1年以内に利用したことがある人の合計。

資料2 市販用介護食の今後の使用意向

③ 市販用介護食の魅力は“介護する人の負担を減らすことができる”が過半数

 一般生活者※4に、「市販用介護食の魅力」について尋ねたところ(複数回答可)、「介護する人の負担を減らすことができる」(54.2%)が最も多く、次いで「食べたい時にすぐ食べられる」(45.1%)でした。将来、介護をする可能性がある人は、介護の負担軽減や利便性を期待していると考えられます(資料3)。一方、一般生活者に、市販用介護食のネガティブなイメージについて尋ねたところ(複数回答可)、「調理や介護について手抜きをしていると思われそう」と回答した人が19.0%で、最も多いことが分かりました(資料なし)。

※4 食事の面で介護を必要とする家族はいないが、今後、自分が中心となって介護をする可能性がある人。

資料3 市販用介護食の魅力

④ “舌でつぶせる”区分利用者は、食事の準備に困っている人が過半数

 介護関与者に、「介護で困っていることや不安なこと」について尋ねたところ(複数回答可)、「精神的な負担」(53.2%)が最も多く、次いで「体力的な負担」(47.1%)でした。UDF区分別で見ると、“舌でつぶせる”区分を利用している人は「食事の準備(料理を作る)」が52.3%と他のUDF区分利用者と比べて高いことが分かりました(資料4)。

資料4 介護で困っていることや不安なこと

≪まとめ:調査結果から≫

 日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフード生産統計※5では、“舌でつぶせる”“かまなくてよい”区分の生産量の比率が高くなっています。

※5 日本介護食品協議会・ニュースリリースより(2019年6月1日発表)

 これらの区分が伸長している背景には、介護環境の多様化や高齢者行政が、在宅介護を推進する方向性を示していることなどが影響していると推測されます。調理に慣れていない人、働きながら介護をしている人にとって、日々の食事の準備は、精神的、体力的に負担になると考えられます。市販用介護食は、温めずにそのままでも食べることができるレトルト食品や、電子レンジで温められるカップ容器入りなど、便利なものが販売されています。市販用介護食をうまく取り入れていくことは、食事関連の負担軽減につながります。
 キユーピーは、今後も介護する人と介護される人の双方の視点に立ち、口から食べることやおいしい食事の大切さとともに、在宅介護のサポートとなる提案を続けていきます。

【調査方法の概要】

■調査手法:インターネット調査
■調査期間:2019年5月16日(木)~5月20日(月)
■調査対象:全国居住の30歳以上の男女
■有効回答数:スクリーニング調査 43,003人 本調査※6 1,408人

※6 本調査は、スクリーニング調査の43,003人のうち、介護関与者(キユーピー「やさしい献立」を1年以内利用者)、介護関与者(キユーピー「やさしい献立」以外の市販用介護食を1年以内利用者)、介護関与者(市販用介護食未利用者)、一般生活者(食事の面で介護を必要とする家族はいないが、今後自分が中心となって介護をする可能性がある)を対象とした。


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