サステナビリティ・食育
20/06/30
No.51
コロナ禍における居場所づくりを支援
キユーピーみらいたまご財団第6回「地域の居場所づくりサミット」を実施
6月13日(土)に初のオンライン開催6月15日(月)から財団公式サイトで動画公開
公益財団法人 キユーピーみらいたまご財団(東京都渋谷区、理事長:三宅峰三郎)は、2020年6月13日(土)に第6回「地域の居場所づくりサミット」をオンラインで実施しました。これは、子ども食堂など食体験を軸にした活動を行う地域の居場所づくりに関する情報提供と交流を目的にしたもので、当日は、事前に申し込みをした200人が参加しました。新型コロナウイルス感染症予防の観点から、初のオンラインでの開催となったサミットの様子は、財団公式サイトにて6月15日(月)から公開しています。
URL:http://www.kewpiemiraitamagozaidan.or.jp/service/index.html#mv
第6回「地域の居場所づくりサミット」 概要
日 時:2020年6月13日(土)15:00~16:40
場 所:キユーピー株式会社 渋谷オフィス 2階ホール (オンライン開催)
第1部 15:00~15:35 キユーピーみらいたまご財団 助成事業説明会・活動報告会
第2部 15:35~16:40 食の居場所づくり講座(講演と具体例の紹介)
主 催:公益財団法人 キユーピーみらいたまご財団
共 催:一般社団法人 全国食支援活動協力会
《第1部》2019年度助成団体を代表して、2団体が活動内容を報告
キユーピーみらいたまご財団の助成プログラムは、A.食育活動、B.食を通した居場所づくり支援の2つがあります。2019年度は計70団体へ総額2,651万円(A.23団体 1,094万円、B.47団体 1,557万円)の助成を行いました。内、2019年度から新たに設けたプログラムBの中の「スタートアップ助成枠」では、新しく「子ども食堂」などの居場所づくり活動を開始した20団体に助成しました※1。
※1 2019年度助成団体紹介 http://partners.kewpiemiraitamagozaidan.or.jp/index.html
第1部では、キユーピーみらいたまご財団理事長 三宅峰三郎のあいさつ、事務局から活動内容とコロナ禍での緊急助成※2について説明を行いました。また、各プログラムを代表して2つの団体が動画で活動の報告をしました。
三宅峰三郎
冒頭のあいさつで三宅は、財団の設立趣旨に触れたのち、「コロナ禍において影響を大きく受けている方、今こそ支援を必要としている方がいる。さまざまな工夫で支援をしている皆さまと思いを共有する場をつくるために、サミットを開催した。今後も前向きに支援活動を続けるため、新しい生活様式における子どもの居場所づくりについて考えていきたい」と熱く語りかけました。
【2019年度助成団体の活動報告(動画放映)】
NPO フリースクール僕んち (東京)
申請事業名:プログラムA 「食べる」を身につけるアウトドア講座
不登校の子どもが「自分だけではない」と孤立感から抜け出し、自分の権利を実現する場をつくっている団体です。今回の助成金を使い、全7回のワークショップを行いました。火を起こす、料理をつくるなど、生きていく力を身に付けるための一歩を踏み出しました。
竹園土曜ひろば (茨城)
申請事業名:プログラムB 子ども食堂スタートアップ助成金
共食を通じた「多世代・多文化交流」と「子どもの成長支援」の場をつくる、地域賑わい型の子ども食堂です。月に一度のランチ交流会を中心に、無料学習塾や料理体験、さまざまなイベントを行っています。昨年度から子どもの貧困や、貧困の連鎖を断ち切ることに重きを置いた「つくば子ども支援ネット」を立ち上げました。
《第2部》コロナ禍での食支援活動の現状と課題をテーマに報告
第2部「食の居場所づくり講座」では、コロナ禍における全国の活動団体や子どもたちの現状について報告を行いました。その後、実際に取り組みを行っている団体が事例を紹介し、コロナ禍での活動方法を共有しました。
【アンケート報告】
平野覚治氏
新型コロナウイルス感染症拡大下の地域の食支援活動
一般社団法人 全国食支援活動協力会 専務理事 平野覚治氏
平野氏は、コロナ禍における活動の変化について、子ども食堂などを運営する団体にアンケート調査を実施しました(WEB調査、188件)。「半数以上の団体は、食材や弁当の提供などの新たな活動を実施していて、活動を減らしていないことが分かった。しかし、半数近く(44.6%)の団体は行政との連携をしていない。地域からの理解を得にくく、活動資金の確保が課題と答える団体も多く、資金的な支援の要望が多く寄せられた」と報告しました。
【事例紹介】
近藤博子氏
休校期間中の子どもへの食の提供と見守りについて
一般社団法人 ともしびatだんだん 代表理事 近藤博子氏
近藤氏は、地域住民が交流し、地域で子どもを育てる、という環境をつくり、料理教室や文化体験を行ってきました。「子ども食堂が地域に必要になっていた中、新型コロナウイルス感染症の不安が出てきた。感染予防対策のため、今までのように集まって食べることができなくなった」と話しました。続けて、「突然の休校で給食もなくなり、昼食を準備することが困難な家庭も増えてきた。今こそ私たちは食事を届けるべきと考え、どんぶり弁当ランチの提供を始めた。行政や青年会議所と連携することで、今まで以上に多くの世帯と繋がり、情報を交換することができた。得た情報は行政にも伝えていく」と行政との連携で得られた繋がりを報告しました。
【講演】
西野博之氏
子どもを育てる居場所の力~食べること・遊ぶこと~
NPO法人 フリースペースたまりば 理事長 西野博之氏
西野氏は長年、不登校の子どもたちやひきこもりの若者の居場所づくりを行っています。特に毎日の昼食を集まって調理し、食べることを大切にしてきました。西野氏は、「子どもの居場所と毎日の食事など、暮らしを取り戻すことが、不登校支援にとって重要」と訴えました。子どもが異変(SOS)を発信できるようにするため、休校期間中も感染拡大防止策を徹底しながら活動を続け、外出自粛中の子ども向けに新たにオンライン講座を実施しました。「コロナ禍において、食を通した居場所の確保は社会的課題。子どもが安心できる場をつくり、子どもの利益を一番に考えながら活動を続けていきたい。このような時だからこそ、皆さんで知恵を絞って考えていきましょう」と呼びかけました。
【参加者よりサミット中に寄せられた質疑への応答】
コロナ禍およびアフターコロナの子どもの居場所づくり支援に向けて
平野氏、近藤氏、西野氏がサミットのオンライン視聴者から開催中に寄せられた質問に回答しました。行政と連携する必要性や、コロナ禍で食事を提供する衛生面の工夫など、実際に活動中の団体からの疑問に答えました。
山崎美貴子氏
最後に、山崎美貴子氏(東京ボランティア・市民活動センター 所長)が「キユーピーみらいたまご財団は、時代の流れをみながら、柔軟に対応を変えている。今日の発表から勇気をもらい、未来への希望を得た。食を一つの文化として考え、協力しながら子どもの居場所づくり活動を進めていきましょう」とあいさつをし、サミットは終了しました。
キユーピーみらいたまご財団は、今後も、食育活動および食を通した居場所づくり支援に取り組む団体への支援活動を行うことで、健やかで持続的な社会の実現を目指していきます。
印刷時には、PDFデータをご利用ください。