研究・調査

20/10/09

No.80

原料内部に入り込んだ異物の検出を目指して

令和2年度 イノベーション創出強化研究推進事業に採択さらに、低価格・高精度・高速な食品原料外観・内部AI検査装置の研究開発を進めます

2020年度から3年間のプロジェクト、10月1日(木)に研究概要公表

 キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:長南 収、以下キユーピー)は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)生物系特定産業技術研究支援センター(以下生研支援センター)が公募する、「令和2年度 イノベーション創出強化研究推進事業※1」に採択され、10月1日(木)に研究概要が公表されました※2。この事業は、農林水産業・食品産業の発展や新たなビジネス分野の創出につながる基礎・応用・実用化の各段階における研究開発を対象としています。キユーピーはこのうち、「応用研究ステージ」にて、外観だけでなく内部も検査可能な低価格・高精度・高速な原料検査装置の開発を目指します。

※1 従来の常識を覆す革新的な技術・商品・サービスを生み出していくイノベーションの創出を目的とした、「知」の集積と活用の場による研究開発を重点的に推進する提案公募型の研究開発事業。

※2 生研支援センター公表、令和2年度採択課題一覧参照: http://www.naro.affrc.go.jp/laboratory/brain/innovation/H30/introduction/saitaku_kadai_r2.html

遡ること2016年。逆転の発想、良品学習型のAI原料検査装置に着手

 キユーピーは、2016年にAIを活用した原料検査装置の開発に着手し、2018年からベビーフードの製造工場に、2019年からはグループ会社の惣菜工場に導入しています。不良品を検出するためには通常、AIに「不良品」を学習させますが、キユーピーが開発した原料検査装置は、「良品」を学習させるという“逆転の発想”で、「良品以外をすべて不良品として検出する」ことが可能となり、飛躍的に検査精度や現場での操作性が向上しました。

実現すれば、内部まで検査可能に。食の安全・安心のレベルアップにつなげたい

 しかしながら、食品に使用される原料の種類は非常に多く、野菜などの農産物は形や色も一定ではないため、種類によっては判別が難しい原料もあります。今回採択された事業では、AIアルゴリズムを始めとするサイバー技術、照明技術を始めとするフィジカル技術を共に改良することで、40品種以上への対応を目指すほか、人による目視や画像認識では困難とされる、原料内部にまで入り込んだ異物(虫)を電磁波センシングで検出することを主要テーマとして掲げています。これらの実現のために、国立研究開発法人産業技術総合研究所と株式会社ブレインパッドの協力を仰ぎ、国内全体の“食の安全・安心のレベルアップ”を図りたい考えです。

 キユーピーは、この事業を通じて、多くの食品・原料メーカーが抱える共通の課題とその解決に向けた研究開発に粘り強く取り組み、食を提供する側・される側がともに安心できる社会の実現を目指します。

本研究開発の概要は下記の通りです。

1.研究期間:

2020(令和2)年度から2022(令和4)年度までの3年間

2.研究開発テーマと実施体制:

1)電磁波センシングによる原料内部の異物(虫)の検出技術の研究開発
電磁波技術とAIアルゴリズムの最適化により、内部混在の虫の高感度検出技術を開発する。

2多品種原料への対応(AI食品原料<外観>検査装置)
AIアルゴリズムおよび画像処理技術の改良等により、識別困難な異物を判別する。

3高処理能力への対応(AI食品原料<外観>検査装置)
AIアルゴリズムの改良による検査処理速度の高速化と高処理に対応する搬送機構を研究開発する。

41~3を活用したAI食品原料検査装置のプロトタイプの開発

5AI食品原料検査装置の生産現場への実装と課題抽出

6同業他社および、原料メーカーへの提供(装置販売での利益は追求しない)


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