研究・調査
20/10/14
No.81
春季の気温上昇にも対応
収量安定性を改善した加工用イチゴの新品種 「夢つづき2号」を育成
9月16日(水)に農林水産省から品種登録出願を公表
アヲハタ株式会社/国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
「夢つづき2号」の株
アヲハタ株式会社(本社:広島県竹原市、代表取締役社長:山本範雄、以下アヲハタ)と国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(本部:茨城県つくば市、理事長:久間和生、以下農研機構)は、加工に適し、かつ春季の気温上昇下においても収量の安定したイチゴの新品種「夢つづき2号」を育成しました※。
※ 2020年6月24日(水)に品種登録出願を行い、同年9月16日(水)に農林水産省から出願公表されました。アヲハタ及び農研機構が共同で育成し、種苗法により両法人の育成者権が保護されています。
新品種育成の経緯
イチゴは生食に加え、ジャムをはじめ加工用途においても幅広く利用されています。加工用のイチゴは、露地栽培が主流なため収量が天候に左右されやすいことが課題でした。しかし国内のイチゴの品種育成は生食用が中心で、加工用の品種育成はあまり行われていないのが現状です。
そこでフルーツ加工の領域拡大を目指すアヲハタと農業・食品分野で科学技術イノベーション創出に取り組む農研機構は共同で、加工に適し露地環境でも栽培が容易なイチゴの新品種の育成に取り組み、2015年「夢つづき」を育成しました。しかし「夢つづき」は、春季の気温上昇により開花が不安定となり、収量が低下することが分かってきました。そこで、開花の安定化に向け、さらに新品種の育成に取り組んだ結果、春季の気温上昇に強く、従来の加工用品種よりも収量が多く、かつ加工適性が高い「夢つづき2号」を育成しました。
夢つづき2号の特徴
「夢つづき2号」の果実
- 春季に安定して開花し、1株当たりの収量が「夢つづき」より多く、果実の重さは「夢つづき」と同等
- 果実が円すい形で硬く、収穫作業性も優れる
- 色が明るく加熱しても風味が残り、加工適性が高い
今後の予定
現在、国内の一部産地で試験栽培を行っています。併せてアヲハタの研究施設「アヲハタ果実研究所」で栽培技術の確立や加工適性評価を行っています。今後も産地への品種導入を進めながら、加工用イチゴの普及に取り組んでいきます。
またアヲハタの体験型施設「アヲハタ ジャムデッキ」で「夢つづき2号」をジャム作り体験に活用するなど、原料や産地に関する取り組みを発信していきます。
「ジャムデッキ」でのジャム作り体験の様子
「夢つづき2号」を使用したジャム
「良い製品は、良い原料から」と考えるアヲハタは、より良い原料の調達のためフルーツの栽培から取り組んでいます。そのような原料への強いこだわりがあるからこそ、今後もアヲハタと農研機構は、イチゴの新品種育成の取り組みを継続し、イチゴのさらなる持続的な生産と安定した供給の実現を目指します。
印刷時には、PDFデータをご利用ください。