研究・調査
22/05/24
No.47
主婦1,500人を対象に調査。心理面で“理想”と“現実”にギャップ
2021年度「えがおの食生活研究」結果報告
朝食は“調理しない”、夕食は“手作りで家族団らん”のメリハリスタイル 内食需要の長期化で手抜きへの罪悪感が大幅に減少
キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:髙宮 満、以下キユーピー)は、20~70代の既婚女性約1,500人を対象に食生活調査「えがおの食生活研究」を実施しました。
2021年度は、食卓の中心を担う「主婦」を対象に調査を行い、同じく主婦を対象にした2020年度※1、2016年度※2、2013年度※3の調査結果と照らし合わせ、変化を分析しました。
<サマリー>
- 朝食は“調理しないで自分ひとり”、夕食は“手作りで家族団らん”のメリハリスタイル
- 食事作りに奮闘した2020年から一年、“手抜き”への罪悪感が大幅に減少
- 心のゆとりや充足感など心理面で“理想”と“現実”にギャップ
「えがおの食生活研究」とは
キユーピーでは、食生活の実態や傾向をつかむことを目的に、1989年から毎年「食生活総合調査」を実施してきました。2020年からは、コーポレートメッセージである「愛は食卓にある。」の実現をめざし、「えがおの食生活研究」に進化させました。「食生活総合調査」では、調理や献立の悩み事を通して生活者の価値観の変化に向き合ってきましたが、「えがおの食生活研究」ではそのベースを継承しながら「笑顔の食卓」の要因をひもとき、キユーピーが貢献できることを考える研究にしています。
■調査方法の概要
調査手法:インターネット調査
調査期間:2021年10月1日(金)~10月4日(月)
調査対象:20~74歳の既婚女性、全国(日本在住)
有効回収数:1,500人(回収ベース)
年代別構成比は、総務省「平成27年国勢調査」の「女性・有配偶」の構成比に基づいてサンプル割付を実施。
■調査結果の概要
朝食は“調理しないで自分ひとり”、夕食は“手作りで家族団らん”のメリハリスタイル
「食事を一緒にとる人」(複数回答可)について尋ねたところ、2013年から2021年にかけて、平日・休日ともに、朝食は「自分ひとり」が増え、「夫」「子ども」と食べる人が減っています(資料1)。これに対し夕食は、2020年と2021年のコロナ下で平日に「夫」と食べる人が増えているものの、その他に大きな変化はありませんでした。
「調理の有無」について尋ねたところ、2013年から2021年にかけて、平日・休日ともに朝食を「調理しない」人が増えています(資料2)。これに対し夕食は、大きな変化はないものの、休日に「調理する」人がやや増加しています。
これらのことから、朝食は無理せず調理不要な食品を利用して家族が個別に済ませ、夕食は手作り料理で夫や子どもと食卓を囲む、メリハリのある生活スタイルへと変化している様子が見て取れます。
また、平日の昼食に「調理しない」人も増えており、女性の社会進出が関係していると考えられます。
資料1:食事を一緒にとる人<上段:平日、下段:休日>
資料2:調理の実施有無<上段:平日、下段:休日>
食事作りに奮闘した2020年から一年、“手抜き”への罪悪感が大幅に減少
市販食品の活用例を挙げて「手抜きへの罪悪感」があるか(複数回答可)尋ねたところ、全ての項目で2013年、2016年、2020年の回答よりもポイントが下がり、手抜きに対する罪悪感が減少していることが分かりました(資料3)。とりわけ2020年との比較では、上位項目の全てで7%以上も罪悪感を持つ人が減っています。これは、新型コロナの流行が始まった2020年以降に内食機会が増え、食事作りに日々奮闘する生活を経験したことで、惣菜や調理食品を活用して食事作りをすることへの罪悪感が大幅に減少したものと推察されます。2013年から2020年にかけては、年々罪悪感が増す傾向にあったことから、大きな変化点と言えます。
資料3:手抜きに対する罪悪感 上位15項目
心のゆとりや充足感など心理面で“理想”と“現実”にギャップ
今回の調査では新たに、「食事シーン」と「調理」について、最近の平日の夕食で「実現できたこと(=現実の食卓)」、と「実現したかったこと(=理想の食卓)」を尋ね(複数回答可)、結果を比較しました。
「食事シーン」で「現実」より「理想」が高かった項目は、「家族が『おいしい』『また作って』と言って喜んでくれる」、「食事の準備をして家族が『ありがとう』と言ってくれる」、「家族と一緒に作るのを楽しみながら食べる」、「手の込んだメニューで家族が喜んで食べてくれる」の4項目でした(資料4-1)。家族が食事を喜んでくれること、またそれを伝えてくれることを望みながらも、現実にはそれを実感できていないことが推察されます。
「調理」で「現実」より「理想」が高かった項目は、「時間と心のゆとりをもって食事の準備をしている」、「すべてのメニューを手作りしている」の2項目で、さらに「理想」の上位に「新鮮なうちに食材を使い切っている」、「買った食材を計画通りに使いこなしている」が挙がりました(資料4-2)。食材の使い切りに苦心しながら日々の食事作りに奮闘する中で、時間と心にゆとりが持てない現実が見て取れます。「食事シーン」の結果と合わせると、食事や調理に完璧さを求める理性的な面を持ちながらも、それ以上に心のゆとりや充足感を求めていて、特にそのような心理面で理想とのギャップを強く感じていることが分かります。
資料4-1:現実の食卓と理想の食卓の捉え方<食事シーン>
資料4-2:現実の食卓と理想の食卓の捉え方<調理>
≪まとめ ―調査結果から―≫
女性の社会進出が進む中、朝食は調理しない、市販食品を活用するなど、限られた時間の中でメリハリをつけてやりくりする様子が感じ取れました。2020年度の調査※1でも食事の準備に対する女性の負担感が示されましたが、本調査では、食場面における心の充足感などの心理面で理想と現実にギャップを感じていることが示唆されました。ストック食材を使いこなすレパートリーや、食卓で家族から感謝を伝えるコミュニケーション作りなど、女性の描く理想に寄り添った提案がギャップを埋める手助けとなるかもしれません。
「笑顔の食卓」の形は人それぞれです。キユーピーは、「えがおの食生活研究」を通して生活者に寄り添い、一人ひとりの「笑顔の食卓」に貢献していきます。
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