研究・調査

22/08/30

No.89

口内に残った油がはがれやすい、「剥離作用」が鍵

揚げ物を食べるとき、野菜サラダで口の中がさっぱりすることを科学的に解明

8月24日(水)~26日(金)開催の日本食品科学工学会で発表

 キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:髙宮 満、以下キユーピー)は、揚げ物を食べる際に、野菜サラダを合間に口にすることで口内がさっぱりすることについて、科学的に解明すべく試験を行いました。その結果、野菜サラダによる口内の油脂感低減効果を確認し、中でも、キャベツやレタスには「油の剥離作用」があり、ドレッシングの添加でその作用が高まることが示唆されました。これらの研究成果について、2022年8月24日(水)~26日(金)に開催された「日本食品科学工学会 第69回大会」にて発表を行いました。

※ 「日本食品科学工学会 第69回大会」 https://confit.atlas.jp/guide/event/jsfst69/static/summary

「から揚げ」と「野菜サラダ」を交互に食べると、口内に残る油っぽさが有意に減少

 はじめに、実食シーンにおける油脂感低減効果を検証しました。から揚げを連続で食べる場合と、野菜サラダを間に挟んで食べる場合について、口に残る油っぽさを評価しました。その結果、から揚げを食べる前後に野菜サラダを食べると、口に残る油っぽさが有意に減少することが分かりました(グラフ1参照)。

グラフ1 実食シーンにおける油脂感低減効果

水と比べて界面張力が弱く、口内に残った油がはがれやすいことを確認

 次に、その作用を解明するため、野菜サラダで主に使用されるキャベツやレタスなどについて、油とのなじみやすさを評価する目的で界面張力試験を行いました。サンプルは、キャベツとレタス、フレンチドレッシングとコールスロードレッシング、そして、各ドレッシングをそれぞれの野菜に添加したものを用意し、野菜はそれぞれ抽出液にして使用しました。
 本試験において、界面張力はその値が「低い」ほど油となじみやすいため、口内に残った油がはがれやすくなります。

グラフ2 大豆油に対する界面張力:キャベツ液(左:コールスロードレッシング、右:フレンチドレッシング)

グラフ3 大豆油に対する界面張力:レタス液(左:コールスロードレッシング、右:フレンチドレッシング)

 純水に比べ、大豆油に対するキャベツ液・レタス液の界面張力は、すべて有意に低下しました。そこへ、ドレッシングを添加すると、より効果が大きくなることが分かりました(グラフ2、3参照)。

 界面張力試験の結果、口内に残った油を剥離する作用が最も大きいのは、「ドレッシングを添加した野菜液」であり、次に「野菜液のみ」、「純水」の順となりました。以上のことから、キャベツやレタスには油の剥離作用があり、ドレッシングの添加でその作用が高まることが示唆されました。これは、野菜に含まれる水溶性食物繊維やポリフェノール、ドレッシングに含まれる卵などの乳化素材が複合的に影響を与えているためと考えています。

油の剥離作用が、油っぽさの低減に影響を与えている可能性が高い

 先の油の剥離作用について、人が知覚できるレベルかどうか、追加検証を行いました。から揚げを食べた後に、「野菜液」(キャベツ液・レタス液)のみ、もしくは「コールスロードレッシングを添加した野菜液」を摂取した場合の、口に残る油っぽさを評価しました。
 その結果、飲料水に比べ、「キャベツ液」「レタス液」「コールスロードレッシングを添加したレタス液」で、油っぽさが有意に低下することが分かりました(抜粋)。

 キユーピーグループは、2030年にどうありたいかをまとめた「キユーピーグループ 2030ビジョン」を策定しています。その一つに、「サラダとタマゴのリーディングカンパニー」を掲げ、健康的な食文化の創造に貢献していくことを明文化しています。今後も、さまざまな研究を通じて、人々の食生活が豊かになるお手伝いを続けていきます。


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