研究・調査

24/10/22

No74

オボムコイドを含まない鶏卵で世界初※1の知見

相模原病院・広島大学・キユーピーの共同研究 アレルギー低減卵の臨床試験について経過報告 実施した17症例全てで「アレルギー反応陰性」を確認

10月18日(金)~20日(日)に開催の日本アレルギー学会で相模原病院が発表

 キユーピー株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役 社長執行役員:髙宮 満、以下キユーピー)は、応用研究フェーズに入った「アレルギー低減卵」について、今年から独立行政法人国立病院機構相模原病院(以下相模原病院)および国立大学法人広島大学(以下広島大学)と共同で、臨床的安全性の評価(臨床試験)を開始しました※2
 臨床試験は相模原病院が主体となって進めており、今年9月までに行った17症例全てで、アレルギー低減卵の加熱粉末を喫食した鶏卵アレルギー患者にアレルギー反応がなかったこと(陰性)が確認されました。本成果について、2024年10月18日(金)~20日(日)に開催された第73回日本アレルギー学会学術大会※3で、相模原病院 臨床研究センター センター長の海老澤 元宏先生が発表しました。

■アレルギー低減卵とは
ゲノム編集技術により鶏卵中に含まれる熱に強いタンパク質(オボムコイド)を除去することでアレルギーを低減できる鶏卵です。キユーピーは2013年から広島大学と基礎研究をスタートし、2020年にラボレベルでの作出に成功しました4

■本研究の目的
これまでに鶏卵アレルギー患者の血清を用いた試験で、アレルギー低減卵の十分な加熱により、血清中の抗体が反応しなくなることを確認しています※5。次のステップとして、本研究では加熱して粉末化したアレルギー低減卵を試験食とした経口負荷試験を行い、鶏卵アレルギー患者の摂食の可能性を臨床的に明らかにすることを目指しました。本研究は相模原病院が主体となり、広島大学がアレルギー低減卵の供給、キユーピーが試験食の調製、相模原病院が経口負荷試験を行いました。

■結果の概要
通常卵の加熱粉末500㎎(タンパク質換算で250㎎)の摂取でアレルギー反応が現れる患者17名に、アレルギー低減卵の加熱粉末500㎎(タンパク質換算で250㎎)をジュースまたはスープに混ぜて摂取してもらいました。専門医による監督のもと経過観察を行い、17名ともアレルギー反応は確認されませんでした。そのうちの6名には、次の段階としてアレルギー低減卵の加熱粉末1625㎎(タンパク質換算で812.5㎎)を摂取してもらったところ、いずれもアレルギー反応は確認されませんでした。

 今後は、摂取量を段階的に増やすなど2026年を目安に症例数を重ねていきます。

 キユーピーグループは、卵を使った商品を数多く取り扱う会社として、卵を食べたくても食べられない人のニーズや実態に向き合い、卵アレルギーで苦しむ人を「ゼロ」にしたいという思いでさまざまな取り組みを進めてきました。あらゆる方法で食の選択肢を広げることは、食品メーカーとして向き合うべき重要なテーマと考え、今後もアレルギー低減卵の研究に真摯に取り組んでいきます。

※1 キユーピー調べ。オボムコイドを全く含まない鶏卵の臨床試験、およびその臨床試験で鶏卵アレルギー患者のアレルギー反応が陰性だった結果がともに世界初(2024年9月末時点、PubMed等のWeb掲載情報に基づく)

※2 キユーピーアヲハタニュース 2024 No.6参照

※3 第73回日本アレルギー学会学術大会 https://site.convention.co.jp/jsa73/

※4 キユーピーアヲハタニュース 2023 No.38参照

※5 キユーピーアヲハタニュース 2024 No.67参照


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