2004/09/07 No.56 |
★研究結果 |
キユーピー(株)研究所が学会発表 |
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マヨネーズには、調味料としての使い方だけでなく、チャーハンに使えばパラッと仕上がり、天ぷらに使えばサクッと揚がるような、料理の食感や食味などを改善する使い方もあります。キユーピーは、さまざまな料理でのマヨネーズの効果を調べています。 このたび、マヨネーズを加えてハンバーグを焼くと軟らかくてジューシーになり、厚焼卵はふわっと仕上がり色調も良くなることがわかりました。 ハンバーグが軟らかくてジューシーになるのは、マヨネーズ中に含まれる植物油の働きです。厚焼卵がソフトになるのはマヨネーズ中の植物油と食酢、色調が良くなるのは食酢の働きです。 また、ハンバーグでも厚焼卵でも、単に植物油や食酢を加えるより、マヨネーズのほうが効果の高いこともわかりました。マヨネーズは乳化されているので、ハンバーグや厚焼卵の中に分散しやすいためであると思われます。
【詳細な内容】 ハンバーグも厚焼卵も、マヨネーズ添加量が増えるほど軟らかく焼きあがりました。 ハンバーグの場合には、ひき肉に対する添加量が10%になると軟らかすぎて油っぽくなってしまい、添加量5%のときが最もおいしく感じました。そこで、添加量5%で以下の実験を行いました。このとき、マヨネーズの風味は感じませんでした。 厚焼卵では、だしなども含めた卵液に対するマヨネーズの添加量が、6%になるとマヨネーズ風味を感じるようになるので、添加量5%で以下の実験を行いました。
マヨネーズを加えてハンバーグを焼くと、軟らかくてジューシーになりました(図1)。 マヨネーズから植物油を除いた場合には硬くなるので、ハンバーグが軟らかくなるのは植物油の効果が大きいと言えます。しかし、植物油も含めたマヨネーズ原料を乳化せず、単に加えただけではハンバーグはそれほど軟らかくならないことから、乳化されていることが重要であるとわかりました(図2)。
マヨネーズを加えて厚焼卵を焼くと、破断応力(歯ごたえ)は23%減少し、ソフトな食感になりました。マヨネーズから植物油を除いても、食酢を除いても厚焼卵は硬くなりましたから、植物油と食酢の効果が大きいと言えます。ただ、植物油と食酢を含めたマヨネーズ原料を乳化せず、単に加えただけではそれほど軟らかくはならないことから、乳化されていることが重要であるとわかりました(図3)。 厚焼卵がソフトになるのは、乳化された植物油が卵液の中に分散して、卵のタンパク質が熱で凝固するときに過度な絡み合いを防ぎ(図4)、さらに食酢が卵液のpHを下げるからです。
マヨネーズの添加量が増えるほど、厚焼卵のL値(色の明るさの指標;値が大きいほど色が明るい)は大きくなりました(図5)。また、黄色味や赤味も増加し、きれいな色調に焼きあがることがわかりました。 これは、マヨネーズに含まれる食酢が、卵黄に含まれる鉄と卵白に含まれる硫黄から、黒い硫化鉄ができるのを防ぐためです。
【発表】 本研究は、日本調理科学会平成16年度大会(平成16年9月9日〜10日、於北海道浅井学園大学 北方圏学術情報センター「ポルト」)の第2日目(9月10日)に発表します。 |