キユーピーアヲハタニュース
2005/5/10 No.30
★研究結果

キユーピー(株)研究所が学会発表 日本女子大学との共同研究
〜ヒト臨床試験で効果を確認〜
卵黄型マヨネーズと一緒にニンジンを摂取するとβ-カロテンの吸収が高まる


5月15日、日本栄養・食糧学会(東京)で発表

 キユーピーでは、約20年前から「野菜をもっとたべましょう」というメッセージをお伝えし続けています。
 昨年、当社では、卵黄型マヨネーズとβ-カロテンを一緒に食べさせると、β-カロテンだけを食べさせた時に比べ、吸収が高くなるという動物試験結果を報告しました(【参考】参照)。
 今回は、ヒトではどのような結果が得られるか試験を実施しました。使用した試験食のニンジンは100g(約1/2本)で、植物油(14g)と卵黄型マヨネーズ(15g)は通常の食事の1回分とし、1度に食べる量として現実的な量にしました。その結果、血中のβ-カロテン濃度は、ニンジンを卵黄型マヨネーズと一緒に摂取すると、ニンジンをそのままで摂取した時に比べ、約4.2倍に高まることが確認されました(図1)。
 このことから、動物試験において示された「卵黄型マヨネーズは野菜に含まれるβ-カロテンの血中濃度を何倍にも高める」という効果が、ヒトでも認められ、マヨネーズすなわち油が「乳化」されていることで、より効果が高まることが分かりました。

図1 血中β-カロテンの増加量

 2005年5月15日、キユーピーは東京農業大学で開催される第59回日本栄養・食糧学会で「健常成人におけるマヨネーズのβ-カロテン吸収促進効果」について発表します。
 本試験では、野菜を卵黄型マヨネーズと一緒に食べることで野菜に含まれる栄養素の吸収にどのような影響があるのか、カロテノイドの代表であるβ-カロテンを多く含むニンジンを用いて、健康な成人を対象に調べました。

【試験概要】
<方法>
対象者は、24〜53歳の健康な成人19名(男性12名、女性7名、平均年齢32.1±1.8歳)。
12時間絶食後、まず空腹時採血(0時間)を行いました。その後、試験食を摂取させました。試験食摂取後2、3、4、6、8時間目に採血を行い、血中のβ-カロテン濃度を測定しました。
試験食[A]:生ニンジン100g (約1/2本) 
試験食[B]:生ニンジン100gと植物油1食分 (14g)
試験食[C]:生ニンジン100gと卵黄型マヨネーズ1食分 (15g)
<結果>
血中のβ-カロテン濃度は、試験食[A]は摂取8時間目までほとんど濃度の変化が見られなかったのに対し、試験食[B]、[C]は摂取3時間目以降、濃度が増加しました(図2)。また、血中のβ-カロテン濃度の増加量は、試験食[A]に比べ試験食[B]で約3倍、試験食[C]で約4.2倍となりました(図1)。
このことから、ヒトにおいても、卵黄型マヨネーズがβ-カロテンの吸収を高めたことが推測され、さらに長時間にわたって血中濃度を高く維持することが確認されました。

図2 血中β-カロテン濃度の経時的変化

【参考】
 昨年報告した動物試験などの結果より、卵黄型マヨネーズがβ-カロテンの血中濃度を高める理由として、マヨネーズに含まれる「卵黄」とマヨネーズの「乳化」の関与が考えられます(2004年度日本農芸化学会)。
 一般にβ-カロテンなどのカロテノイドは油に溶けると体内に吸収されやすくなります。マヨネーズは水中油滴型の乳化食品であることから、植物油よりも胃液中で分散しやすく、胃液と均一に混ざります。そのため、植物油のみよりもマヨネーズの方が、胃液中のβ-カロテンを含む食物と触れる機会が増え、β-カロテンが油に溶け出しやすくなっているのです。

【資料】
カロテノイドを多く含む食品には、ニンジンやホウレン草、カボチャなどの緑黄色野菜があります。 カロテノイドの代表である β-カロテンは、必要に応じて体内でビタミンAに変わるだけでなく、生体内に発生し、老化などの原因となっている活性酸素を消去する作用(抗酸化作用)があるため、疾病の予防にも役立つことが知られています。
< 脂溶性ビタミンとカロテノイドの多い野菜(きのこ含む)>
ビタミンA/β-カロテン ……ニンジン、モロヘイヤ、カボチャ、インゲンなど
ビタミンD ……椎茸、シメジ、エリンギなど
ビタミンE ……ホウレン草、赤ピーマン、ブロッコリー、アボカドなど
ビタミンK ……ホウレン草、サニーレタス、水菜、キャベツなど