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2006/10/19 No.66
★研究結果
東京家政大学と共同研究
大麦黒酢には血圧を下げる効果がある
10月26日(木)に日本栄養改善学会学術総会で発表
キユーピーは東京家政大学と共同で、大麦を原料にした大麦黒酢に血圧を下げる効果があること、その効果は玄米が原料の黒酢よりも高い可能性があることを第53回日本栄養改善学会学術総会(10月26日、つくば国際会議場)で発表します。
「飲む酢」の人気は近年急速に高まっています。中でも黒酢には血圧を下げる効果があると言われ、注目を集めています。
学会では、大麦黒酢を長期間摂取すると血圧が高くなりにくくなること、そして血圧低下効果は大麦黒酢の原料である大麦麦芽由来の成分と酢酸の両方が関与していることも発表します。
図1 大麦黒酢の血圧低下効果
高血圧自然発症ラットに水(対照群)、または大麦黒酢、玄米黒酢を
体重1kgあたり3g与え、その後の血圧の変化を調べました。
当社グループのキユーピー醸造株式会社では、キユーピーマヨネーズ向けの専用酢以外にも、大麦を使った黒酢などを製造しています。大麦黒酢の原料の大麦は精白していない玄麦で、カリウムは一般穀物酢の約17倍、カルシウムは約12倍というように、ミネラルが多く含まれています。
本研究では、大麦黒酢の血圧低下効果作用の有無、玄米黒酢との効果の違いを調べました。
【発表内容】
1.大麦黒酢には血圧低下効果があり、玄米黒酢よりも高い可能性がある
【実験方法】
高血圧になった高血圧自然発症ラット(成長していく過程で自然に高血圧症になるラット)に水または大麦黒酢、玄米黒酢を体重1kgあたり3g与え、その後の血圧の変化を調べた。
【実験結果】
大麦黒酢には血圧低下効果があることがわかった。また、4時間後には玄米黒酢を与えた場合よりも有意に血圧が低くなった(図1)。
2.大麦黒酢を長期間摂取すると、血圧が高くなりにくい
【実験方法】
高血圧症を発症していない高血圧自然発症ラット(これから発症するラット)に、水または大麦黒酢を10%添加した飼料を与えて8週間飼育し、血圧の変化を調べた。
【実験結果】
大麦黒酢を添加した飼料を与えた場合には、水を添加した場合(対照群)と比較して3週間目には血圧が低い値になり、8週間目まで有意に低い値だった(図2)。大麦黒酢を長期間摂取すると、血圧上昇が抑えられるといえる。
図2 大麦黒酢の長期間摂取による血圧上昇抑制効果
3.大麦黒酢の血圧低下効果には、大麦麦芽由来の成分と酢酸の両方が関与
【実験方法】
大麦黒酢は、麦芽を糖化(デンプンを酵素などで分解すること)して麦芽糖化液とし、これをアルコール発酵、次いで酢酸発酵して製造する。
大麦黒酢の効果が何によるのかを調べるため、水、大麦黒酢、大麦黒酢の原料である麦芽糖化液、大麦黒酢と同じ酢酸濃度の酢酸溶液を高血圧自然発症ラットに体重1kgあたり3g与え、その後の血圧の変化を調べた。
【実験結果】
麦芽糖化液を与えた場合、酢酸溶液を与えた場合どちらも、大麦黒酢を与えた場合よりは小さいが血圧低下効果が見られた。大麦黒酢の血圧低下効果には、大麦麦芽由来の成分と酢酸の両方が関与していると推察される(図3)。
図3 大麦黒酢、麦芽糖化液、酢酸の血圧低下効果
《参考》
キユーピーでは、「純粋玄麦 くろ酢」(精白していない玄麦を原料にした大麦黒酢)、「黒酢&五穀酢ドリンク」(大麦黒酢と米黒酢、五穀酢を使用したドリンク)を販売しています。