キユーピーアヲハタニュース

2007/8/29 No.57

★発表

マヨネーズの裏ワザ研究 第4弾
キユーピーマヨネーズはチャーハンを
パラッとおいしく仕上げます
8月30日、日本調理科学会平成19年度大会(東京)にて発表

 チャーハンは、マヨネーズを入れるとパラッと仕上がることは以前から知られています。今回キユーピーでは、その根拠について研究しました。
その結果、チャーハンがパラッと仕上がるのは、マヨネーズ原料中の卵黄の影響が最も大きく、乳化および原料中の食酢も影響を及ぼしていることが分かりました。また官能評価では、マヨネーズで炒めたチャーハンは、パラッとしていてコクがあり、おいしいと評価されました。

 本研究成果については、日本調理科学会平成19年度大会(2007年8月30〜31日、お茶の水女子大学)で発表します。

 マヨネーズの用途拡大のため、当社ではサラダに使用するだけでなく、さまざまなメニュー提案を積極的に行っています。そして、ハンバーグに入れるとジューシーに仕上がる、ホットケーキに入れるとふっくら、サクッと仕上がるなどの裏ワザを研究発表し、お客様にお伝えしてきました。
 今後も、キユーピーでは、家庭の食場面を楽しくするような、マヨネーズの新しい可能性を追求していきたいと考えています。

写真
 

【実験1 視覚的確認】

チャーハンの基本配合
米飯200g
植物油またはマヨネーズ15g
合計215g
図:フライパンを200度まで加熱、植物油またはマヨネーズを加え、米飯を加え、2分間加熱・攪拌。1時間放冷後に測定。
植物油:菜種油
マヨネーズ:卵黄型マヨネーズ 
米飯:こしひかり(無洗米)
 
 植物油またはマヨネーズで炒めたチャーハンをそれぞれポリ袋に入れ、二酸化炭素を注入、混合、凍結した。
 
▼結果
 チャーハンをマヨネーズで炒めると、植物油のみで炒めるよりほぐれやすく、パラッとすることが視覚的に確認できた。
植物油で炒めたチャーハンの写真マヨネーズで炒めたチャーハンの写真
植物油で炒めたチャーハンマヨネーズで炒めたチャーハン
図1.チャーハンの視覚的確認
 
【実験2 物性に影響を与える因子】
 チャーハンがパラッとする、その要因について調べた。
 まず、マヨネーズ原料から卵黄または食酢を抜いたものを使ってチャーハンを炒め、マヨネーズのどの原料が影響を与えているのかを調べた。次に、マヨネーズ原料を乳化させたものと乳化させていないものでチャーハンを炒め、乳化が与える影響について調べた。
 測定は、テンシプレッサーMy Boy SYSTEM TTP-50BX(タケモト電機製)集団粒米飯2×3測定解析を用い、硬さ、こし、付着、粘りの4項目を測定した。
 
▼結果1
結果1のグラフ
対照:植物油で炒めたチャーハン
卵黄(−):マヨネーズ原料から卵黄を抜いた原料で炒めたチャーハン
食酢(−):マヨネーズ原料から食酢を抜いた原料で炒めたチャーハン
マヨ:マヨネーズで炒めたチャーハン
図2.チャーハンの物性とマヨネーズ原料の関係
 
チャーハンがパラッとしているかは、主に粘りの数値が指標となり、数値が小さいほどパラッとしていることを意味する。最も数値が小さいのはマヨで、卵黄(−)は対照と大差がなく、食酢(−)は対照より数値が小さいが、マヨよりは大きい。対照、卵黄(−)に比べ、マヨ、食酢(−)は数値が有意に小さい。
 
 これらの結果より、マヨネーズで炒めたチャーハンは、植物油で炒めたチャーハンよりパラッとした物性になっていて、それは、マヨネーズ中の卵黄の影響が大きいことが示唆された。また、食酢も米飯の物性に影響を与えていると考えられる。卵黄の影響が大きいのはレシチンの作用と思われる。
 
▼結果2
結果2のグラフ
対照:植物油で炒めたチャーハン
未乳化:マヨネーズ原料を乳化せずに使用し炒めたチャーハン
マヨ:マヨネーズで炒めたチャーハン
図3.チャーハンの物性とマヨネーズの乳化の関係
 
 粘りは、対照、未乳化、マヨの順に有意に小さい値を示した。また、未乳化はフライパンに投入すると一部卵黄が熱で変性していた。
 よって、乳化がチャーハンの物性に影響していることが分かった。乳化によって卵黄がマヨネーズ中に分散しているため、フライパンの熱で変性することがなく、米飯と混ざりやすいためではないかと考えられる。
 
【実験3 官能評価】
チャーハンの配合
 対照マヨ
米飯200g200g
焼豚25g25g
長ねぎ15g15g
食塩0.5g0.2g
こしょう0.1g0.1g
植物油15g
マヨネーズ15g
合計255.6g255.3g
図:フライパンを200度まで加熱、植物油またはマヨネーズを加え、米飯を加え、1分間加熱・攪拌。調味料、焼豚、長ねぎを加え1分間加熱・攪拌。
 
評価方法:7段階の評点法。対照・マヨ2種類のチャーハンを25gずつ量り取り、同時に供して評価。
評価パネル:キユーピー(株)研究所20〜50代の男女16名
 
▼結果
結果のグラフ
対照:植物油で炒めたチャーハン
マヨ:マヨネーズで炒めたチャーハン
図4.官能評価
 
 対照とマヨに、「ご飯がパラッとしている」「コクがある」「おいしい」の項目に有意な差が認められた。「油っぽさ」について差は認められなかった。

 よって、マヨネーズを使用したチャーハンは、植物油を使用したチャーハンよりもご飯がパラッとした感じになる、コクがある、おいしくなると評価された。
 マヨネーズの風味はごくわずかで、中には酸味を感じる人もいたが、総合評価ではマヨの方がおいしいと評価された。
 
【まとめ】
マヨネーズで炒めたチャーハンは、植物油で炒めるより、ほぐれやすく、パラッとすることが確認できた。
官能評価でも風味に悪影響はなく、ご飯がパラッとした感じになる、コクがある、おいしくなると評価された。
マヨネーズの中の卵黄は乳化状態であるため、熱変性しにくく、米飯と混ざりやすい。そのため、少量でも米粒を包みやすい。
マヨネーズに含まれる食酢も米飯の物性に影響を与えていると考えられる。
 
 以上により、マヨネーズがチャーハン調理において、好適な調味料であることが、科学的に裏付けられた。
 
>> マヨネーズの裏ワザレシピはこちら
 
■参考:マヨネーズを使用した調理の食感・食味改善効果に関する過去の研究
「調理食品の物性とおいしさに及ぼすマヨネーズ添加の影響」
(日本調理科学会平成16年度大会 2004年)
マヨネーズをハンバーグに入れるとふっくらジューシーに仕上がる。また、厚焼たまごに入れるとふわっと仕上がり、さらに色調も良くなる。
 
「マヨネーズを用いた揚げ油を使わないフライの調理特性」
(日本調理科学会平成17年度大会 2005年)
揚げ油を使わないエビフライ様食品の調理方法を提案。
 
「ホットケーキの物性とおいしさに及ぼすマヨネーズ添加の影響」
(日本調理科学会平成18年度大会 2006年)
マヨネーズはホットケーキをふんわり、サクッと、おいしく仕上げる。