キユーピーアヲハタニュース

2007/11/13 No.65

★学会発表

キユーピー㈱研究所が学会発表
日本女子大学との共同研究

マヨネーズは野菜に含まれるβ-カロテンやルテインの吸収を高めます
11月17日、第29回日本臨床栄養学会総会・第28回日本臨床栄養協会総会
第V回大連合大会(京都)で発表
 キユーピーでは、マヨネーズが、野菜の栄養素の体内への吸収にどのような影響を及ぼすのか研究を行っています。
 カロテノイド(β-カロテンやルテインなど)は緑黄色野菜に多く含まれる栄養素ですが、そのまま食べても体内へ吸収されにくいことが知られています。そこで、2004年には、マヨネーズがβ-カロテンやビタミンKの吸収を高めることを動物試験で確認し、2005年には、ニンジンをマヨネーズと一緒に食べるとβ-カロテンの吸収が高まることをヒト試験で確認し、学会発表しました。
 今回は、マヨネーズをつけて食べることの多いブロッコリー(ゆでたもの)を使い、その中に含まれるカロテノイド(β-カロテンやルテインなど)の体内への吸収にマヨネーズがどのような影響を与えているか調べました。
 健常成人19名にゆでたブロッコリー75g(約3房分)をそのまま、あるいは植物油14g(1食分)、卵黄型マヨネーズ15g(1食分)とそれぞれ一緒に食べてもらった結果、ブロッコリーをそのまま食べるより、マヨネーズと一緒に食べた方がβ-カロテンやルテインが効率よく吸収されることが分かりました。
図1.血中β-カロテン濃度の増加量
図1.血中β-カロテン濃度の増加量
【ブロッコリーのみを食べたときを1とした場合】
【実験内容】
<対象者> 健常成人19名(男性11名、女性8名)
平均年齢 32.2±1.8歳
平均BMI(Body Mass Index) 22.5±0.8kg/㎡
<試験食> (1)ゆでたブロッコリー75g(約3房分)のみ
(2)ゆでたブロッコリー75g+植物油 *14g(1食分)
(3)ゆでたブロッコリー75g+卵黄型マヨネーズ15g(1食分)
*マヨネーズを作るときに使用した植物油と同じものです。
<方 法> 12時間絶食後、まず採血を行いました(0時間)。その後、試験食(1)〜(3)のいずれかを食べ、食後2、4、6時間目に採血を行い、血液中の「カロテノイド濃度」「血中ルテイン+ゼアキサンチン濃度」を調べました。
各対象者は一週間以上の間隔をあけて(1)〜(3)の試験食の全てについて食べ、それぞれ同様の方法で採血を行いました。
【結果】
血中β-カロテン濃度
 0時間から6時間までの血中β-カロテン濃度は、ブロッコリーのみを食べたときと比べて、植物油と一緒に食べたときには約1.2倍、マヨネーズと一緒に食べたときには約2.5倍増加しました(図1)。
血中ルテイン+ゼアキサンチン濃度
 β-カロテンと同じくカロテノイドの一種のルテインとゼアキサンチンは構造異性体で、ヒトの網膜などに存在することが知られています。
図2.血中ルテイン+ゼアキサンチン濃度の増加量
図2.血中ルテイン+ゼアキサンチン濃度の増加量
【ブロッコリーのみを食べたときを1とした場合】

 0時間から6時間までの血中ルテイン+ゼアキサンチン濃度は、ブロッコリーのみを食べたときと比べて、植物油と一緒に食べたときには約1.7倍、マヨネーズと一緒に食べたときには約2.2倍に増加しました(図2)。

 以上の結果より、マヨネーズはブロッコリーに含まれるカロテノイド(β-カロテン、ルテイン+ゼアキサンチン)の体内への吸収を高めることが確認されました。

 本研究は、11月16日(金)〜18日(日)に行われる第29回日本臨床栄養学会総会・第28回日本臨床栄養協会総会 第Ⅴ回大連合大会(京都テルサ)で、「健常成人のカロテノイド吸収に対するマヨネーズの影響−野菜中のルテインおよびβ-カロテンの吸収促進効果−」と題して発表します。

【参考】過去のマヨネーズのカロテノイド吸収に関する学会発表
2004年4月 日本農芸化学会2004年度大会
 「マヨネーズによるカロテノイドの吸収促進効果」
2004年10月 第51回日本栄養改善学会学術総会
 「マヨネーズによるカロテノイドおよび脂溶性ビタミンの吸収促進効果」
2005年5月 第59回日本栄養・食糧学会大会
 「健常成人におけるマヨネーズのβ-カロテン吸収促進効果」