2015/4/14 No.30★食生活総合調査 |
<2014年度 キユーピー 食生活総合調査①>
20〜69歳“単身者”の食にまつわる行動・意識調査報告
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キユーピーは、1989年(平成元年)から毎年、「食生活総合調査(※1)」を実施しています。2014年度は20〜69歳の“単身者”を対象として、単身者の食生活における実態と意識について調べました。大きな特徴としては、単身者に食の「ひとり化」が進んでいることや、3年前の前回調査時には増加傾向だった単身男性の調理頻度が一転、再び減少傾向にあること、また食に関して重視する項目が、価格の安さから安全性・健康感へ変化している点が見て取れました。調査結果から得られたこれらの特徴について、3回にわたりグラフや表を交えながら紹介し、考察を試みます。
※1 食生活総合調査は、食生活の実態や傾向をつかむことを目的に、キユーピーが毎年実施している調査です。「主婦」「単身者」「シニア」の3つの対象に対して、毎年順番に調査を行っています。今回は2014年度に実施した「単身者」に対する調査結果を、前回調査の2011年度と比較、分析しています。
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とくに進む昼食時の「ひとり化」 直近の平日に食事をした人に対して、「一緒に食べた人」を尋ねたところ(複数回答可)、1日を通じて「自分ひとり」がもっとも高いことが分かりました。2011年と比べて増減幅が最大だったのは昼食時で、「自分ひとり」が5.4%増え、「その他の職場関係の人」が6.3%減少しています(資料①参照)。さらに性別・年代別に見ると、40〜60代男性の昼食時がとくに「ひとり化」の傾向が顕著であることがわかります(参照資料なし)。
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また、「外食をする」と回答した人に対して「だれと利用することが多いか」を尋ねたところ、「自分ひとり」と答えた人が朝食・昼食・夕食のすべてにおいて過半数を超えています。2011年との増減幅で見ると、平日の昼食時に「自分ひとり」で食べる人が4.8%増、「職場関係の人」と一緒、「友人・知人」と一緒に食べる人がそれぞれ8.3%減、3.4%減となり、平日昼食時の「ひとり化」が外食時においても進んでいることが分かります。また、性別・年代別で見ると、男性の「ひとり化」がとくに目立ちます(資料②参照)。
なお、休日外食時における同様の調査でも、「友人・知人」と夕食を共にする人が7.6%減となるなど、「ひとり化」の傾向が見て取れます(参照資料なし)。 |
薄れる「ひとり外食」への抵抗感 「自分ひとりでの外食の頻度は2〜3年前と比べてどうなったか」を尋ねたところ、その頻度は、全体では特段増えていないように見えます。そこで性別・年代別に見ると、20代の男女で増加傾向が見られ、60代の男女で減少傾向にあることが分かりました。若い層でひとり外食への抵抗感が薄れていることが推測されます(資料③参照)。
また、「ひとりで外食する際のお店の選定理由」について尋ねたところ(選択式・複数回答可)、男女で大きな差異が認められました。男性が「安く飲食ができる」「短時間で飲食ができる」店を選択理由として挙げているのに対し、女性は「ひとりでも入りやすい」「ひとりでも食べやすいメニューがある」店を好んで選ぶ傾向にあることが分かります(資料④参照)。実際、外食店においても「ひとり客」への積極的な対応が見られます。ひとり用の鍋メニューやひとり客に配慮した店づくりなど、店側の対応がひとり外食を後押ししているとも考えられます。 自分ひとりの食事では、調理の簡便志向や節約志向が顕著になる一方、家族そろっての食事では、「おいしいこと」や「健康への配慮」など家族を気遣う項目が上位を占めました。さらには、食卓の品数・彩り・ボリュームなど多くの項目におけるポイントが伸長しています。これらのことから、食事の準備をする際に、食べ手によって主婦が重視する項目とその優先順位が大きく変化することが見て取れます。
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《考察:調査結果から》
単身者の食に認められる「ひとり化」には、どのような背景があるのでしょうか。考え得る要因の一つに、労働時間の増加が挙げられます。厚生労働省「毎月勤労統計」によると、所定外給与(残業代)と所定外労働時間(残業時間)は、東日本大震災に見舞われた2011年に比べて確実に増えています。この間、株価は高騰、失業率は改善し、有効求人倍率は2013年11月には1.00倍に達しています。仕事に費やす時間が長くなれば、退社時刻も遅くなり、「友人・知人」「職場関係の人」との外食の機会が減る要因にもなり得ます(資料②より)。昼食時における「ひとり化」も、仕事量の増大に伴って、昼食を手短に済ませたいという意識の表れとも考えられます。一方で、外食時においては、ひとりのほうが気楽と考える人を、店側による「ひとり外食」への配慮・対応が後押ししたとも推察されます(資料④より)。また、前回調査の2011年は、震災とその影響が色濃く反映された年でもあり、人々に「絆」を大切にする意識が強く、食に関わらず「ひとり化」を敬遠する年であったことも考えられます(調査は同年11月に実施)。ゆえに、2011年比で見たとき、「ひとり化」の傾向が顕著に表れたとも推察されます。
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【調査方法の概要】
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