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キユーピーアヲハタニュース

2015/4/22 No.31

★食生活総合調査

<2014年度 キユーピー 食生活総合調査②>

20〜69歳“単身者”の食にまつわる行動・意識調査報告
単身男性に見られる、「非調理」への回帰

 キユーピーは、1989年(平成元年)から毎年、「食生活総合調査(※1)」を実施しています。2014年度は20〜69歳の“単身者”を対象として、単身者の食生活における実態と意識について調べました。調査結果から得られた特徴について、3回にわたりグラフや表を交えながら紹介し、考察を試みます。(今回が2回目)。
※1 食生活総合調査は、食生活の実態や傾向をつかむことを目的に、キユーピーが毎年実施している調査です。「主婦」「単身者」「シニア」の3つの対象に対して、毎年順番に調査を行っています。今回は2014年度に実施した「単身者」に対する調査結果を、前回調査の2011年度と比較、分析しています。

調理をまったくしない単身男性の増加

 「ここ1週間で、何回くらい調理をしたか」を尋ねる問いに対して、「調理はまったくしなかった」と回答した単身者が2011年に比べて5.9%増えています。この傾向はとくに男性(ただし60代を除く)に顕著であることが表から見て取れます(資料①参照)。ただ、単身女性についても、20代、30代でそれぞれ、9.2%、10.3%の人がここ1週間で「調理はまったくしなかった」と回答しており、調理をしなくても食生活が支障なく送れる環境にあることが分かります。
 なお、前々回調査の2008年から前回調査の2011年にかけては、単身女性の調理スキルが向上し、単身男性の調理頻度は増す傾向にありました。その傾向は続くと予想されましたが、今回の2014年調査では再び非調理化へと向かい、非調理への“回帰”が起こっていることが分かります。
資料1 1週間の調理回数


「切る」「皮をむく」は減少、「フライパンで焼く」は増加

 平日の朝食・昼食・夕食について、それぞれ調理をした人に「行ったこと」はどれかを尋ねたところ(選択式・複数回答可)、三食すべてにおいて「野菜や果物を切る」がもっとも高く、このほか「野菜や果物の皮をむく」「ごはんを炊く」「お米を研ぐ」などの割合が高いことが分かりました(資料②参照)。ところが、2011年からの増減幅で見ると、「野菜や果物を切る」「野菜や果物の皮をむく」がそれぞれ、平日夕食時で10.3%減、8.6%減となるなど、「切る」「皮をむく」という基礎的な作業が行われなくなってきていることが分かります。背景の一つには、パッケージサラダ市場の伸張や、その利用経験・利用頻度の高まり(※2)があると考えられます。野菜は丸ごと買わずにカットされたものを利用する、そのことが調理行動に変化を与えている可能性が高いと推察されます。
※2 パッケージサラダを製造・販売する、株式会社サラダクラブが発表している「サラダ白書2014」より。「サラダ白書」とは、同社がサラダの食文化把握を目的として、2010 年から毎年実施している調査について、その結果をまとめた報告書のこと。

 その他、2011年との比較で特徴的なのは、「フライパンで焼く」という調理行動が3.4%増加している点です(平日夕食時)。レシピ本や雑誌の企画ページでは「フライパンひとつで作れる」ことが訴求ポイントになったり、素材を加えて炒めるだけで味が決まるといった惣菜用調味料も多数発売されています。「フライパンで焼く」という調理行動増加の裏には“フライパン=簡便調理”という意識が潜んでいることがうかがえます。また、「切る」「皮をむく」という調理行動の減少と関連付けて考えてみると、既にカットされた野菜を購入して炒めるだけという、より簡便な使いみちとしてフライパンが活用されている可能性もありそうです。
資料2 調理で行ったこと(平日)


手作りしたいのに、時間がない。
実態とのかい離、葛藤も。

 「自分の食事を準備するときに不満に感じていること」を尋ねたところ(選択式・複数回答可)、「献立に変化がないこと」を不満に感じている人がもっとも多く、次いで「品数の少なさ」「栄養バランスが悪い」ことなどが上位にランクインしています。
 2011年との増減幅に着目すると、「手間ひまがかかること」を不満に思う人が4.9%減少しているのに対し、「手作りする時間がないこと」を不満に思う人は3.7%増加しています(資料③参照)。このことから、「時間があれば手作りしたい」といった気持ちの高まりがうかがわれ、1ページ目で紹介した「非調理化」の実態と、かい離や葛藤がありそうです。
 このような葛藤が、調理満足度にも少なからず影響を与えているのか、全体的に満足度が低下していることが分かりました(資料④参照)。
資料3 食事準備時に不満を感じていること
資料4 ふだんの調理の総合的な満足度

   《考察:調査結果から》
 2008年に比べて調理をする単身男性が増加した2011年。その2011年を振り返ると、前回(2015年キユーピーアヲハタニュースNo.30)の考察でも触れたとおり、東日本大震災とその影響が色濃く反映された年でした。東日本はもとより、直接的な影響を受けなかった西日本でも、自粛ムードは広がりを見せ、イベントが中止されたり、外食を控えるなど、全体的に消費活動が低下しました。長引く不況による影響と節約の意味合いからも、弁当を手作りして職場に持参する人が増え、弁当男子なる言葉も定着した感がありました。時間的余裕とそうせざるを得ない社会的な背景が、単身男性を調理へと向かわせたと推測できます。
 それから3年、2014年の調査では、一転して「非調理」へと向かいました。これは消費の回復と、前回の「ひとり化」の要因同様、労働時間の増加によるものが大きいと考えられます。一人で暮らす単身者の食を考えるとき、食事の作り手となり得る人が基本的に本人以外にいないため、労働時間の増減が時間的余裕の有無を生み、単身者の調理行動を直接的に左右することが推察されます。
【調査方法の概要】
■調査手法 インターネット調査
■調査期間 2014年11月26日〜11月28日
■調査対象 20〜69歳の一人暮らし(日本在住)