2015/4/30 No.33★食生活総合調査 |
<2014年度 キユーピー 食生活総合調査③>
20〜69歳“単身者”の食にまつわる行動・意識調査報告
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キユーピーは、1989年(平成元年)から毎年、「食生活総合調査(※1)」を実施しています。2014年度は20〜69歳の“単身者”を対象として、単身者の食生活における実態と意識について調べました。調査結果から得られた特徴について、3回にわたりグラフや表を交えながら紹介し、考察を試みます。(今回が最終回)
安さ重視の単身者、減少の兆し 「弁当・惣菜を買うとき、重視する項目」を尋ねたところ(選択式・複数回答可)、「価格が安いこと」が40.7%と突出しており、価格は弁当・惣菜購入時の重要な判断材料であることが分かります(資料①参照)。ただ、2011年と比較すると、13.8%減と減少幅が大きく、価格重視の傾向が弱まってきていることがうかがえます。一方で、増加している項目は、「安全な食材を使っていること」「国産の食材を使っていること」などが挙げられ、多少高くても安全なものを選びたいと考える単身者が増えつつあることが示唆されます。
また、「ふだんの食品の買い物で実際に行っていること」を尋ねた場合も(選択式・複数回答可)、「値段が手ごろな食品を買う」ことが37.8%と、もっとも高いものの、2011年比で10.8%減少していることが分かっています(参照資料なし)。さらに、「外食でメニューを選ぶときに重視していること」を尋ねた場合も(選択式・複数回答可)、もっとも重視されている項目である「価格が安いこと」(32.5%)が、2011年比で9.1%減少しています(参照資料なし)。 つまり、内食・中食・外食すべてにおいて、価格が以前ほど重要な要素ではなくなってきていることがうかがえます。 |
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「中食」の利用は、「おかず」類が増加傾向 「ふだんどのくらいの頻度で市販の弁当や総菜を利用するか」を尋ねたところ、「月に1回以上」利用する人の割合が8割を超えており、この割合は、2011年からほぼ変わっていません(資料②参照)。ただ、「毎日」あるいは「週に4〜5回」利用しているヘビーユーザーの割合で比較すると、2011年から3.9%増加していることが分かります。
さらに、「利用する市販の弁当や惣菜にはどんなものがあるか」を尋ねたところ(選択式・複数回答可)、「弁当」が58%ともっとも高いものの、2011年からは5.6%減少しています(資料③参照)。代わりに利用が増えている項目には、ワンプレートでさっと食べられる丼物やパスタのほか、「から揚げ、フライ、天ぷらなどの揚げ物」や「洋風のおかず」など、いわゆる「おかず」として食べられるものが目立ちます。弁当を買って済ます、という利用の仕方から、おかずを買い足して、日々の食事にうまく取り入れている人が増えている可能性がありそうです。 |
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チャネルで使い分け、インターネットで食品購入も 「食品の買い物をどんな店でしているか」を尋ねたところ(選択式・複数回答可)、「一般的な食品スーパー」が75.6%と突出しており、次いで「大型スーパー」(38.1%)、「コンビニエンスストア」(29.5%)、「一般小売店(肉屋、パン屋など)」(15.7%)、「ドラッグストア」(12.0%)と続きます(参照資料なし)。これに続く11位の「インターネットショッピング」(5.6%)について見てみると、上位のスーパーなどと比べてまだまだ利用者は少なく、購入する食品の種類には偏りが見られます。購入品目1位の「飲料」、2位の「ミネラルウォーター」、3位の「お米」に共通するのは、すべて重い食品であることです。
「ネットスーパーや宅配サービスの利用シーン」を尋ねた別の設問に対する回答からも(選択式・複数回答可)、「重い食品を買うとき」(61.5%)、「まとめて食品の買物がしたいとき」(56.0%)が上位を占めていることが分かります(資料④参照)。その一方で、「ネットスーパーでしか手に入らない食品があるとき」という回答も20.9%に上り、重いもの・まとめ買いのほか、インターネットスーパーならではの買物を楽しむ人もいることがうかがえました。 経済産業省が2014年8月に公表した「電子商取引に関する市場調査」(2013年)によると、総合小売業のEC化率(全ての商取引における電子商取引の割合)が6.39%に達している一方で、食料品小売業は1.08%にとどまっています。しかしながら、対前年比で116.7%の伸びがあり、食料品のEC市場の拡大が今後も期待できそうです。 |
《考察:調査結果から》
前回、前々回(2015年キユーピーアヲハタニュースNo.30-31)と、単身者の食における実態と意識について考察を試みてきました。各回の主題を、単身者の「食事行動」「調理行動」「買物行動」とし、関連の深い設問とその調査結果を参照しながら、3年前(2011年)の調査時との比較、分析をしました。その結果、ひとりで食事をする「ひとり化」の傾向と、まったく調理をしない単身者が増加し、「非調理への回帰」が起こっていることが分かり、その理由の一つとして、労働時間の増加が考えられることに触れました。
さらには、内食・中食・外食のいずれにおいても、脱・価格重視の兆しがあることを、今回報告しています。その理由についても根本的には同様で、景気回復による労働時間の増加、給与の増加が、少なからず影響を与えているものと推測することができます。重視する項目で増加が認められた「安全性」については、度重なる食品偽装問題、異物混入問題などにより、そうした意識が自然と強まるような社会的な背景があったことも否定できないでしょう。 「単身者の食」の特性を考えてみると、衣食住、すべての役割を一人で担うことの多い単身者は、社会の変化・影響をダイレクトに受けやすく、一方で、意思決定を一人で済ませることが比較的容易なことから、時間が無ければ外食で済ませるなど、食にまつわる実態が変化しやすいとも言えそうです。 次回の単身者への調査は2017年です。この間の社会の動きを注視しながら、食にまつわる変化についても注意深く探っていきます。 |
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【調査方法の概要】
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