神奈川大学 大後栄治監督に聞く

※掲載内容は2017年12月時点の情報に基づきます。

2017年11月5日。プラウドブルーの襷が、伊勢神宮のフィニッシュテープを切りました。 全日本大学駅伝で、神奈川大学を20年ぶり3度目の優勝へと導いた大後栄治監督にお話を聞きました。

優勝、おめでとうございます。1997年以来、20年ぶりのことですね。
この間に、キユーピーとの共同研究がスタートしています。

ありがとうございます。確かに、20年前に頂点に立ったわけですが、その後、学生駅伝界にもスピードの時代が到来し、それまでの方法論が通用しない状況になりました。選手たちに自信のあるトレーニングメニューを処方できない苦しい時期があったのです。私にとっては、新たな指導者像を徐々に確立していく20年間だったのかもしれません。キユーピーから共同研究のオファーをいただいたのは、そうした取り組みが、徐々にかたちになりつつある時期だったと思います。

キユーピーからの共同研究の依頼があった当初の印象をお聞かせください。

キユーピーから、共同研究によって卵白ペプチドの抗疲労効果を検証しアスリートに貢献したいという想いを伝えられました。この話をいただいた時に、卵由来のペプチドということで興味があったのは事実です。
しかし、当時からその手の依頼は数多くあり、お受けしても選手たちが続けられなくなって立ち消えとなるケースがありました。ただ、研究者の皆さんの想いは伝わってきましたし、アミノ酸とたんぱく質との中間の存在で、良いものなんだろうなという期待はありました。それでも、まだ半信半疑でしたね。

実際に共同研究がスタートして、当初の印象に変化はありましたか?

私自身もスポーツ生理学に携わっているので、生化学的な検査を行って選手たちの体質やコンディションの状態を見てきた経験があります。トップアスリートは常に身体を鍛えているため、差が出にくいと言われていますから、初年度の負荷強度では差は出ないのではないかと思っていました。

彼らのようなトップアスリートの中で有意差が出たという報告を受けて、想定以上だなという印象を持ちました。そして、負荷をより高めて試験をすれば、もっと明確に差が出てくるのではないかと、さらに期待が膨らみました。

卵白ペプチドの抗疲労効果について、どのように感じていらっしゃいますか?

私としては、エビデンスがしっかりとあることと、何よりも選手たちが続けたいと言っていることで信頼できる素材だなと感じています。良くなければまず選手たちから勘弁してくださいと声があがる。うちは嫌なものは摂らなくていいというスタンスなので、一定の期間だけ協力はするものの、選手がしっくりこないようだと打ち切りにさせていただくことも多かったのです。それが今回は、選手たちが続けたいと言うのですから、有形無形に効いているのだと思います。

共同研究の成果を、どのように将来につなげていくべきだとお考えですか?

私が注目しているのは、抗酸化という機能ですね。長距離ランナーたちは、日々のトレーニングでかなりのストレスをかけて、高度な回復力を身につけることを狙います。しかし、長期間のストレスによって疲労が蓄積すれば、コンディションを良好に保つことができなくなり故障のリスクも高まります。だから、トップアスリートたちは、疲労を蓄積させないために睡眠を含めて十分な休養をとろうと努力するのです。

アスリートを育てていくためには、身体をつくるということと同じくらいに体内に酸化物を溜め込まないことを重視しなければならないと考えています。そこに効いてくる。つまり身体の酸化を抑えて、錆びてしまうことを防止できるのですから、将来の大ヒット商品になるのではないかと期待しています。

最後に、キユーピーとの共同研究の印象を教えてください。

キユーピーのフィロソフィーを垣間見る機会が多々ありました。売上や利益を最優先することは、企業としては当たり前のことだと思っています。ところが、キユーピーのさまざまな部署の方々と接してみて感じたのは、皆さんが大事にしているのは全くそういうことじゃないんだなということでした。キユーピーの皆さんは、社会に価値あるものを提供していくんだという情熱と哲学を持たれていて、それぞれの仕事に真摯に取り組んでいらっしゃる。そこが心地よかったですね。そして、皆さんが心から応援してくださっていることが、選手たちにも伝わったのだと思います。そのことに何か感じるものがあって、継続してタッグを組ませていただいているのだと思っています。

本日は、ありがとうございました。箱根駅伝での健闘をお祈りしております。

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