健康寿命延伸への貢献
健康寿命延伸の考え方
生涯健康のカギとなるフレイル予防に向けて、東京大学高齢社会総合研究機構により栄養(食事・口腔機能)・身体活動(運動を含む)・社会参加(社会活動)の3つの柱が提唱されています。しかし、これは決して高齢者だけではなく全世代に共通するポイントです。
3つの柱は、1つよりも2つ、2つよりも3つと複数の柱を自分の生活サイクルにうまく組み込むことが大切です。
その中で、キユーピーグループは特に「栄養」に関して、「サラダ」「タマゴ」「噛む」「適塩」を推進し、一人ひとりの楽しく健康な食生活をサポートすることを中心に健康寿命延伸への貢献をしていきます。
健康寿命延伸に向けた協働・研究
運動と食の両面から健康を応援
生涯健康でいるために、「栄養」「身体活動」「社会参加」の3つの要素が大切という想いを共有するセントラルスポーツ株式会社と協働しています。
子どもから高齢者まで健康に過ごしていただくため、インストラクターが実施する食育イベントや、ホームページなどを通して、栄養と運動の大切さを発信しています。
共同プロジェクトで健康な食生活に役立つ情報を発信
「健康な食生活に貢献したい」という想いを共有する株式会社ABC Cooking Studioと共同プロジェクト「サラダとタマゴの食と健康キッチン」を立ち上げました。野菜不足やたんぱく質不足、塩分の過剰摂取など、食生活の課題に対して、両社の強みや特徴をいかしたWEBコンテンツや、1dayレッスンなどを通じて「サラダとタマゴ」にまつわる健康な食生活に役立つ情報を発信しています。
2023年3月には健康についての意識や、サラダや卵料理をつくるときの悩みや課題をリサーチしまとめた「サラダとタマゴの食と健康白書2023」を公表しました。
東京大学高齢社会総合研究機構との取り組み
東京大学高齢社会総合研究機構
フレイル予防イベント
東京大学高齢社会総合研究機構と連携し、志を共にする企業と、高齢者の食生活向上に向けて業界連携の場である食のコンソーシアム(「食の在り方研究会」)に参画しています。「食の在り方研究会」では、フレイル予防・対策に向け、生涯健康のための3つの柱を基軸に、新たな産業創出をめざしています。超高齢・人口減少社会を迎えている日本において、医療や介護の分野での限りある公的資源を維持継続していくためにも、フレイル予防に役立つさまざまな産業の発掘と健全な育成をめざします。
食糧学院との取り組み
授業風景
栄養士および調理士の養成校である学校法人食糧学院と連携し、学院生徒に向けた講演会や授業を実施しています。
2023年は「サラダから食べる」ことの良さを授業で啓発し、学生自らが作ったサラダをSNSに投稿する企画を実施しました。
取り組みを通じて、学生が楽しくサラダとタマゴの魅力を学んで体感できる機会を提供しています。
食生活に関する調査の実施と健康な食生活提案
健康寿命は食生活との関わりが強く、生活習慣病予防としては塩分を控え、野菜を積極的に摂取することが必要といわれています。
そこで、健康な食生活提案に向けて、長寿県であり、野菜の摂取量も多い長野県松本市・松本大学および東京都渋谷区・東京都健康長寿医療センターとそれぞれ共同調査を実施し、その結果を学会発表や論文にまとめました。
さらに、そうした結果をもとにお客様に向けた食生活提案を地元企業と共に取り組み始めています。
鶏卵の摂取による認知機能改善効果
研究体制
生物系特定産業技術研究支援センター(以下生研支援センター)が公募する「令和3年度 イノベーション創出強化研究推進事業※1」に応募し、「鶏卵市場拡大に向けた卵の認知機能改善研究と付加価値鶏卵の開発」のテーマで採択※2されました。キユーピーはこのうち「応用研究ステージ」にて、鶏卵の認知機能改善効果を明らかにし、その機能性成分を高含有する付加価値卵の開発を五者共同でめざします※3。鶏卵の摂取による「認知機能改善効果」を明らかにするとともに、改善に関与する成分を特定し、その効果をヒト試験で確認することを目的としています。
※1従来の常識を覆す革新的な技術・商品・サービスを生み出していくイノベーションの創出を目的とした、「知」の集積と活用の場による研究開発を重点的に推進する提案公募型の研究開発事業
※2令和3年度「イノベーション創出強化研究推進事業」の公募における審査結果について:
※3共同研究機関:国立大学法人東京大学、学校法人東京医科大学、地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)
一人ひとりの健康をサポートする取り組み
噛むことの大切さを啓発
生涯にわたり食事を楽しむためには、噛む力がとても大切です。しかし、「噛む」という動作は、半ば無意識的に行われる運動であり、噛まない習慣が身についてしまっている方にとっては意識して改善していくのは困難です。キユーピーでは“噛むことの大切さ”の啓発を目的に株式会社ロッテと和洋女子大学とで共同研究に取り組んでいます。2022年には、これまで共同で行ってきた食品ごとの噛む回数に関する研究成果をまとめ、ランク付けした「咀嚼回数ランク表」を公開しました。
食をテーマにした講演会
食についての正しい知識や、食の大切さと楽しさを伝えることは、私たちの重要な役割です。
健康で楽しい食生活に貢献したいと考え、「食」をテーマにした講演会に講師となる社員を派遣し、食生活と健康について正しい情報を提供しています。
プログラムは現在3種類あり、「野菜の魅力」をテーマにしたプログラムでは、野菜の栄養や理想的な摂取量などをDVDで見たり、毎日の生活で実践できる調理法を紹介したり、参加される皆さんに関心を持っていただけるような内容にしています。
参加した方からは、「1日350gの野菜摂取を意識して献立を考えます」「野菜の幅広い魅力、食卓での楽しみ方などを学ぶことができた」などの声も聞かれ、野菜の魅力が伝わっています。
介護に関するイベント
キユーピーは1998年に日本で初めて市販用介護食を発売しました。日本は世界で最も早く超高齢社会に突入し、ますます介護食の必要性は高まっています。
高齢者の食について理解を深めてもらい、ユニバーサルデサインフードについても知ってもらうために、介護の現場に関わる方々や学生へ勉強会を行っています。また、一般の方を対象としたイベントも開催しています。
たまごスター
社内認定制度「たまごスター」を2019年度よりスタートしました。
「タマゴのリーディングカンパニー」をめざしてグループ全体で卵の魅力を語れる従業員を増やすことが目的です。
三ツ星タマリエ検定取得(日本卵業協会)に加え、卵の知識を正しく伝えるための勉強会に参加することで認定されます。
全国約888人の「たまごスター」が卵の魅力を伝える活動を行っていきます。
たまごスター認定証
たまご白書
「たまご白書」は、卵に対する認識や食べ方、トレンドを分析した調査報告で2017年より実施しています。卵について魅力を感じることや好きな卵料理などのアンケートから、卵の正しい知識の啓発や、卵料理の楽しみ方の提案へと生かしていきます。
健康に配慮した商品
キユーピーグループは、野菜をサラダで食べるという新しい食文化の普及に努め、サラダメニューの拡がりとともに成長してきました。これからも一人ひとりの食のパートナーとして、さまざまな世代の食と健康に貢献するため研究・商品開発を行っていきます。
特定保健用食品
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キユーピー
ディフェ
機能性表示食品
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キユーピー
アマニ油
マヨネーズ -
キユーピー
アマニ油
ドレッシング -
キユーピー
フィッテ -
キユーピー
フィッテ
ドレッシング
低カロリー・減塩対応食品
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ジャネフ
ノンオイルドレッシング
食物アレルギーへの取り組み
近年、日本をはじめとする先進国では、食物アレルギーは増加の一途をたどっており、食品メーカーとして対応すべき重要な課題と考えています。キユーピーでは、より多くの方に食事を楽しんでいただけるよう、さまざまな取り組みを行っています。
商品表示
キユーピーでは、一目でわかりやすいように、法令で定められている表示方法に加えて、商品に含まれるアレルゲン(特定原材料7品目と表示が推奨されている21品目について)をまとめて表示しています。また育児食(ベビーフード)については、重篤度が高い、あるいは症例数が多い食物アレルゲン7品目「卵・乳成分・小麦・えび・かに・そば・落花生」の使用の有無について、商品の正面に一目でわかるように表示しています。
アレルゲンアイコン
食物アレルゲン7品目不使用のベビーフード
小麦を使用していないしょうゆなど原材料から配慮し、食物アレルゲン7品目を使用しない育児食(ベビーフード)の開発を行っています。
「卵不使用」のマヨネーズタイプ調味料
キユーピーは、卵アレルギーに配慮し、卵を使わないマヨネーズタイプ調味料(業務用)を学校給食向けに発売しています。発売後の状況から家庭用のニーズが高まっていると判断し、2015年2月に「キユーピー エッグケア(卵不使用)」を市販向けに発売しました。今後も社会に求められる商品づくりで食生活に貢献していきます。
卵アレルギー研究
アレルギー低減卵の研究
キユーピーは、国立大学法人広島大学と共に、2013年からアレルギー低減卵※の共同研究を進めてきました。
「卵の会社」として、卵アレルギーで苦しむ人を「ゼロ」にしたいという思いで、さまざまな取り組みを進めてきました。
2022年11月には、鶏卵を加熱したのちにオボムコイドを水で洗い流す処理を施した「低アレルゲン化鶏卵粉末」を用いて、安全に卵アレルギーを予防する可能性が示唆され、学会で研究成果を発表しています。
あらゆる方法で“食の選択肢”を広げることは、食品メーカーが向き合うべき重要なテーマです。キユーピーは、今後もアレルギー低減卵の研究に取り組んでいきます。
オボムコイドを含まない鶏卵の作出方法
※鶏卵中に含まれる熱や消化酵素に強いたんぱく質を除去することで、アレルギーを低減できる鶏卵のこと。
卵アレルギーは「食べて予防」へ
食物アレルギーは、じんましんや呼吸困難などを引き起こす病気で、特に卵アレルギーは乳幼児に多いといわれています。これまでアレルギーを引き起こす食品の摂取は避けた方がよいとされていましたが、最近の研究で「離乳早期に少しずつ食べ始めるほうがアレルギー発症予防に有効※」であることがわかってきました。キユーピーグループは、加熱などによりアレルゲン性を低下させた卵を用いて、より安全な卵アレルギーの診断・治療および予防につなげる研究を専門医療機関と共同で行っています。卵アレルギーの無い世界をめざして、これからも診断から治療・予防法確立までの支援を継続していきます。
加熱などによりアレルゲン性を低下させた卵素材
※2016年、国立成育医療研究センターは、卵アレルギーの予防に関する研究成果を発表しました。アトピー性皮膚炎の乳児121人を対象に行った結果、皮膚の治療を十分に行った上で6ヵ月齢から微量の加熱した卵の粉末を食べた乳児の1歳時における卵アレルギー発症率は8%(食べなかった乳児は38%)となり、その有効性が示されました。この結果を受けて、2017年には日本小児アレルギー学会から「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が出され、さらに2019年には厚生労働省の授乳・離乳の支援ガイドにおいて卵黄の摂取開始時期が早められました。
医療への取り組み
キユーピーのファインケミカル事業は、卵由来のレシチンやリゾチーム、食酢の研究から生まれた酢酸菌酵素など、さまざまな素材を食品・化粧品・医薬品などの分野へ提供しています。中でも30年以上にわたり研究を重ねてきたヒアルロン酸は、事業の中核となる素材であり、国内販売量No.1(2022年富士経済調べ)となっています。
キユーピーは国内で唯一、鶏のトサカからの抽出と微生物発酵の2つの方法でヒアルロン酸を製造するメーカーです。分子量のコントロール技術や修飾技術を強みとし、顧客ニーズに合わせた技術支援を行ってきました。
キユーピー初の医療機器、内視鏡用粘膜下注入材「ケイスマート」
キユーピーのヒアルロン酸は、医療用点眼剤や関節機能改善剤の原料など、さまざまな医薬品に使用されています。これらの取り組みで得た製造・品質管理の技術を生かし、ヒアルロン酸を活用した医療機器の企画、開発を行うビジネスを展開しています。
消化管(胃・食道・大腸など)の粘膜層にとどまる早期がんなどの病変を内視鏡を用いて切除する際に使用される医療機器「内視鏡用粘膜下注入材」は、ヒアルロン酸ナトリウムが使われています。ヒアルロン酸の粘性により粘膜下層にとどまることで粘膜層と筋層を分け、その状態を維持することで病変部位の切除または剥離操作性向上をサポートします。キユーピーは高品質の医療機器を提供することで、内視鏡による早期がん治療を通じ、健康寿命の延伸に貢献します。
他にも大腸検査を受けられる方や医療機関の皆様へ、検査前日にご使用いただける商品もご用意しています。
未病(がん予防)への取り組み
キユーピーは「食」でがんを予防する研究を2013年から開始しました。2018年には将来の発がんリスクを判定する研究を始めています。
血液中に存在するマイクロRNAという成分を測定することで、将来の発がんリスクを判定し、マイクロRNAの発現量を改善する食提案で疾病予防の実現をめざしています。現在、これに向け、横浜国立大学、東京医科大学と共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が運営する「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」のプロジェクトを進めています。
海外における健康への取り組み
それぞれの国のライフスタイルや食の歴史・文化を理解し、お客様に寄り添いながら、キユーピーグループが持つ「おいしさ・やさしさ・ユニークさ」によって新しい食べ方や食シーンを提案し、世界中の人々の心と体の健康に貢献していきます。
各国の食文化に合わせた商品開発
キユーピーグループは、日本のオリジナルマヨネーズの味を大切にしながら、海外拠点においても現地の食材や料理に合った調味料の開発に力を注いでいます。
中国ではフルーツサラダに好んで使われる甘いタイプのマヨネーズを開発し、広く使われるようになっています。また、中国北部で一般的に食べられている大拌菜(ダーバンツァイ)というサラダ向けにドレッシングを開発し、現在では中国各地で人気の商品になっています。
マレーシアとインドネシア、タイの3カ国でハラル認証を取得した商品を生産し、食の洋風化が進む現地および周辺諸国に向け販売を行っています。
このように現地のニーズに合わせた商品の開発を行い、世界中の人々においしさを提供しています。
左:甘いタイプのマヨネーズ
右:大拌菜ドレッシング
キユーピー マヨネーズ ジャパニーズスタイル
(ハラル認証)
中国における食と健康啓発活動
中国でも健康志向は高まりを見せる中、「中国の食と健康への貢献」をめざす丘比(中国におけるキユーピーブランド)では、日本や現地での研究成果を生かし、上海市食品学会などと健康普及活動を展開しています。
また、店頭の野菜売り場では、野菜の健康機能を啓発しつつサラダに注目していただく活動も開始しており、上海・北京を起点として中国全土への拡大を進めています。
活動の様子(上海)