2012/3/22 No.26★学会発表 |
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キユーピーは、ヒアルロン酸を経口投与することで炎症による痛みの軽減が期待される試験結果を得ました。試験結果は、3月22〜26日に開催される日本農芸化学会2012年度大会(会場:京都女子大学等/京都府京都市)で発表します。
キユーピーはヒアルロン酸の機能性について研究を進めています。ヒアルロン酸は肌のうるおい維持を目的に化粧品に使われるほか、これまでの各種試験により、食べることで肌水分の維持(※1)や変形性膝関節症の痛みを和らげること(※2)が期待できることがわかっています。 今回は、足の炎症を誘発したラットを用いて、ヒアルロン酸を経口投与することが炎症の進行や、疼痛関連物質の量に及ぼす影響を調べました。 その結果、ヒアルロン酸を投与したラットは投与していないラットに比べて足の腫れが少なくなりました。また、腫れた部位の体液を調べたところ、痛みのもとになる物質のブラジキニンとプロスタグランジンE2の量が少なくなっていることがわかりました。 この結果から、ヒアルロン酸を経口投与することにより、炎症による痛みが軽減されることが示唆されました。 ※1 当社ホームページ 参照 ※2 キユーピーアヲハタニュース 2010年No.31 参照 |
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【研究内容の概略】 | |
(方法) | ラットに体重1kgあたり200㎎/日のヒアルロン酸を4週間経口投与した【ヒアルロン酸群】後、炎症誘発物質のλ-カラギーナン1%溶液0.1mlを後足に注射した。注射6時間後に足の容積を測定し、腫れの進行を確認した。 また、同時に腫れた部位の体液を採取し、疼痛物質であるブラジキニン、疼痛増強因子であるプロスタグランジンE2の量を測定した。陰性対照としてヒアルロン酸を投与しない群【対照群】を、陽性対照として消炎鎮痛薬に用いられるイブプロフェンをλ-カラギーナン注射の1時間前に投与した群(体重1kgあたり100mg、イブプロフェン群)を用いた。各群6〜10匹による試験で、統計学的手法を用いて解析した。 |
(結果) | 注射後の足の容積はヒアルロン酸群、イブプロフェン群で対照群と比べ有意に小さく、腫れが抑えられていることが確認された(図1)。また、ブラジキニン、プロスタグランジンE2ともにヒアルロン酸群、イブプロフェン群は対照群に比べて有意に低い値を示し、疼痛関連物質の分泌が抑えられていることがわかった(図2、3)。 これらの結果から、ヒアルロン酸を経口投与することにより、炎症による痛みが軽減されることが示唆された。 |
図1.λ-カラギーナン注射6時間後の足容積 | |
図2.λ-カラギーナン注射6時間後の疼痛物質ブラジキニンの量 | |
図3.λ-カラギーナン注射6時間後の疼痛増強因子プロスタグランジンE2の量 |